中村優羽「苦しい時でも『次は自分の番』と思って」
県立高松南(香川県)
県立高松南(香川県)は県のライバルである英明(香川県)に敗れてインターハイ出場を逃しました。「U18日清食品 四国ブロックリーグ2023」には挑戦者の気持ちで臨みましたが、開幕戦の9月9日と10日にはケガ人を多く出してしまい、6人での戦いを余儀なくされました。
もともと選手層を課題としているチームにとっては非常に厳しい状況で、山下浩二ヘッドコーチも頭を抱えます。「本当は8人で、できれば10人ぐらいを使って試合をしたいです。この大会では力のあるチームを相手にどれだけのことができるのか、思い切ってチャレンジした時にどうなるのか、というのを見たいのですが……」
それでも、試合に出た選手たちはそれぞれベストを尽くして強敵に立ち向かいました。9月10日の高知中央(高知県)との試合では、第2クォーターに30-11のビッグクォーターを作って前半を47-27と20点差で折り返すと、後半はそのリードを守り切り、危なげない試合運びで71-53の快勝を収めました。
チームを引っ張ったのは、ポイントガードにしてエース、そしてキャプテンも務める中村優羽選手です。彼女を発奮させたのは、前日の開幕戦で聖カタリナ学園(愛媛県)に敗れた悔しさでした。「昨日はコーチが教えてくれる細かい部分、ディフェンスやリバウンドが全くできない試合でした。そこをもう一回、きっちりやろうとみんなで話し合って試合に挑みました」と中村選手は言います。
オフェンスでもディフェンスでもチームを引っ張る彼女は、攻守に運動量で一番目立ち、ディフェンスで身体を張り、パスワークの中心となって、思い切りの良いドライブから自ら得点も奪う八面六臂の活躍。山下ヘッドコーチが「いつも安心して見ていられるウチのエースです」と語るだけのプレーを見せました。
6人で戦っているので交代もできず、100%全開のパフォーマンスを40分間続けることになりましたが、中村選手は最後まで運動量もプレーの強度も落としませんでした。それを可能にしたのは、チームを引っ張る責任感です。
苦しい時をどう乗り越えるかと質問すると、彼女はこう答えました。「私が2年生だった去年、3年生4人と一緒に試合に出さしてもらっていたんですけど、チームが苦しい時は3年生が頑張ってディフェンスしたり、点を取ったりしてくれたんです。だから苦しい時でも『次は自分の番』と思って負けずに戦います」
試合中、山下ヘッドコーチが中村選手に指示の声を飛ばすのは唯一、少しでもプレーに積極性を欠いた時で、その時には必ず声がかかりました。「コーチがそう言う時は、自分でも分かっているんです。ドライブでいかなきゃいけない時に3ポイントシュートで逃げてしまったりとか。言われるたびに『今はそうやったな』と思います」
そうやって背中を押されながら、彼女はチャレンジを続けます。「この大会ではオフェンスだったら自分のドライブがどこまで通用するかを試したいです。どこと対戦しても競った試合はできると思うので、そこをどれだけ勝ちきれるか。やっぱり勝つことがチームの成長につながると思うので、勝ちたいです」
積極的にチャレンジし続けることで、自分のポテンシャルを引き出し、そうやってチームを引っ張っていく。中村選手は逃げず、ひるまず、チャレンジする姿をチームに見せていきます。
この記事をシェアする