「自分なりにできるプレーを少しでも」
高知中央(高知県)
高知中央(高知県)は昨年に続き2度目の「U18日清食品 四国ブロックリーグ」出場となります。吉岡利博ヘッドコーチはリーグ戦だからこそ『育成』をメインに据えてこの大会に臨んでいます。
「高校生はトーナメントの大会が多いので、一発勝負になるとどうしても勝ちに行くメンバーが優先で、育成に重きを置けなくなります。今回は主力にケガが多く、リザーブメンバーが試合に出る中で課題をみつけて、選手たちが自分でそこに気づいて修正していく成長が見えました。公式戦としてリーグ戦があるのは、そういう意味ですごくありがたいです」
「U18日清食品 四国ブロックリーグ2023」では、初戦で済美(愛媛県)に、続いて県立高松南(香川県)に敗れる連敗スタートとなりました。それでも本来の先発メンバーが何人も欠場する状況で、15人のベンチ登録メンバーのうち13人をコートに送り出し、貴重な実戦経験を得ています。
9月10日の県立高松南との試合では、前日の済美との試合でメインで出場したポイントガードの赤石華音選手がケガで欠場となり、2番手から5番手という控えガードを起用することになりました。「新チームになって伸びてきたガードが不在で、ゲームが作れないのは感じました」と吉岡ヘッドコーチは語りますが、育成に主眼を置くだけに負けたという結果よりも内容での収穫にフォーカスします。
県立高松南との試合は、第2クォーターに相手に30-11のビッグクォーターを作られたものの、他の3つのクォーターでは互角の戦いを繰り広げました。「前半にもうちょっとアジャストできていれば、また違った展開になったはずで、もっと頑張れたとは思います。やっぱりゲーム中に修正する経験自体がないから、底上げのつもりで我慢するしかありません。それでも主力で欠場している4人が戻れば、ゲームで計算できる選手が10人ぐらいになります。留学生も今は2年生ですし、チームとしては着実に成長していると感じます」
赤石華香選手は、先発の赤石華音選手の双子の妹で、この大会でチャンスを得たポイントガードです。後半に試合に出て、リードされている中で押し返すプレーを見せました。「出場時間は限られていて、後半は負けていたんですけど、ルーズボールとかリバウンドとか自分なりにできるプレーを少しでもと頑張ったつもりです」と話します。
伊藤祐希選手は「最初にうまくいけば良い雰囲気で試合が進むんですけど、入りが悪いとディフェンスから崩れてしまい、オフェンスもうまくいかなくなってしまう」と考え、まずはディフェンスから立て直し、押し返そうと試みました。勝利にはつながりませんでしたが、後半だけを見れば26-24とロースコアの展開に持ち込んで上回っており、伊藤選手の奮闘は一つの成果につながったと言えます。
ベストメンバーで戦うことができなくても、菅野真梨亜選手は「勝てばチームに勢いが付きます」と、それを言い訳にせずに勝利を目指してベストを尽くすことの大切さを説きます。コートに立った全員がそれぞれの存在感を見せるあたりは、さすが『ガードの高知中央』を感じさせました。
高知中央には現在35人の選手がおり、実戦経験の場はどれだけあっても歓迎です。留学生プレーヤーのゴウム アストゥ選手もまだ2年生で、攻守に粘り強さが足りない部分はありますが、よく走ってチームに貢献しようとする気持ちはしっかりと出ていました。吉岡ヘッドコーチによれば「公式戦でこれだけ長くプレーしたのは初めて」という、これから経験を積んで伸びていく選手。サイズのないチームだけに、183cmのアストゥ選手がフィットすれば、チームはまた違った強さを出せるはず。この「U18日清食品 四国ブロックリーグ2023」を戦いながら、高知中央は大きくステップアップしそうです。
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