鈴木涼太「学べるところは全部チームに持ち帰ろう」 聖和学園(宮城県)
初開催となった「U18日清食品 東北ブロックリーグ2023」は、男女ともに各県から1チーム、計6チームが出場しました。仙台大学附属明成(宮城県)が「U18日清食品トップリーグ2023」を戦う宮城県からは聖和学園が出場しました。 その聖和学園は、残念ながらこの大会で勝ち星を挙げることができませんでした。4試合目の羽黒(山形県)戦に67-86で敗れた試合後、阿部昭宏ヘッドコーチは選手たちを集め、時間をかけてこう語りかけました。
「今日のゲームを終えて我々だけが全試合で黒星ですが、私は今の試合以外は負けたという感覚は持っていません。きちんと対等に戦えています。序盤から離されている試合が続いてるのは、もともとあったけれど普段はごまかせている課題が高いレベルで露呈したからで、修正しなければいけないことは分かっていると思います。明日のラストゲーム、自分たちが納得できるバスケットをしましょう」 阿部ヘッドコーチは、選手たちもおそらく自分と同じ思いだろうと言います。「試合を重ねるごとにプレーが整理されていますし、これまでごまかしていた課題が浮き彫りになったのはうれしいことです。こういった経験の積み方ができるのは、勝っても負けても試合数が確保されるリーグ戦のシステムのおかげです」 振り返れば、聖和学園の選手たちは試合後の挨拶を終えるとすぐに選手同士が集まって言葉を交わし、次の試合に向けた修正点を話し合っていました。それは試合を重ねるごとにプレーの変化につながり、最終戦の県立一関工業(岩手県)との試合では、最初はターンオーバー連発だった相手のゾーンプレスディフェンスを試合中に攻略し、最後はかなりスムーズに攻められるようになっていました。
就職試験で不在だった佐藤栄舜選手に代わってキャプテンを務めた鈴木涼太選手は「大会に入る前、『東北大会では1試合だけかもしれないけど、ここでは全チームと試合ができる。いろんなチームと対戦できるから、勝ち負けも大事だけど学べるところは全部チームに持ち帰ろう』と話し合っていました」と明かし、「もちろん負ければ悔しいですが、自分たちができたこと、できなかったことをチームでしっかり話して、次の試合をどう戦うかというところに意識を向けています」と今大会のマインドセットを説明しました。
トーナメント戦では負けたら終わり。負けた試合から学び、それを次に生かせるのはリーグ戦ならではの特色となります。しかも前述の通り、この大会ではレベルの高い試合が続くことで、チームは多くの経験を得ることができます。阿部ヘッドコーチは「この3日間で普段の練習だと2カ月分くらいの価値があります」と話しました。
自分たちの現在地を把握し、負けから貪欲に学び、できなかったことだけでなくできたことにもきちんと目を向ける。その姿勢は聖和学園のチームとしての成長を大きく助けてくれるはずです。
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