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U18日清食品リーグ

U18日清食品トップリーグ2023 (女子) 大会レポート
京都精華学園が2冠目獲得!桜花学園が涙した“1点”の重み

U18日清食品リーグ2023 大会レポート
U18日清食品トップリーグ2023
レポート

ブザービーターを狙った桜花学園のシュートがリングに弾かれ、京都精華学園の選手たちが歓喜を爆発させました。最終スコアは60-59。約2か月にわたり、U18世代トップの8チームによる総当たり戦が繰り広げられたU18日清食品トップリーグ2023の女子頂上決戦は、1点差で優勝が決定する劇的な幕切れとなりました。

終わってみれば、全勝チームも全敗チームもない混戦模様。それでも、女王の座に上り詰めたのは、京都精華学園でした。今年のインターハイ続きU18日清食品トップリーグ2023で優勝し、今年度2冠を達成しました。

山本綱義コーチは「苦しい時間帯も長く、我慢の試合でした」と胸をなで下ろしていましたが、#4堀内桜花選手(3年/167cm)を起点にした落ち着いたゲーム運びは、これまで数々の修羅場を乗り越えてきた試合巧者ぶりを十分感じさせるものでした。

U18日清食品トップリーグ レポート画像 「全員が成長できた大会でした」と山本コーチが言うように、ベンチメンバーも含めて貴重な経験を積めた7試合でした。特に9月30日(土)には大阪薫英女学院(大阪府)に敗れ、10月1日(日)には岐阜女子(岐阜県)に延長戦の末に辛勝というタフな連戦となりましたが、課題を得て気を引き締めることができたのも大きな収穫といえるでしょう。

大黒柱の#15ディマロ ジェシカ選手(3年/188cm)が平均33.1得点で得点王、堀内選手が平均9.4本でアシスト個人ランキング1位となるなど、柱となる3年生たちがしっかりとチームをけん引しました。得点源の一人である#5八木悠香選手(3年/178cm)も「自分はドリブルからのドライブを得意としているのですが、このリーグ戦ではそこを守られたときに、どう工夫してシュートまで持っていけるかを学べたと思います」と自身の成長を振り返ります。

U18日清食品トップリーグ レポート画像 一方、同じくU18日清食品トップリーグ2023を経て夏から大きな成長を見せたのが桜花学園です。しかし、昨年度に続く連覇はならず、宿敵・京都精華学園に敗れて多くの選手たちが悔し涙を流しました。その差は僅か1点。インターハイ決勝の完敗(65-88)から大きく差を縮めたとはいえ、#5黒川心音選手(3年/164cm)は「最後の最後で受け身になってしまって、気持ちが足りなかったし、まだまだ日頃の積み重ねも足りなかったなと。たった1点差かもしれないけれど、その1点はものすごく大きな差だったと思います」と声を震わせて語っていました。

それでも、桜花学園は今大会、インターハイの反省を受け、コミュニケーションを増やし、ディフェンスの強度にこだわって戦っていました。京都精華学園以外の試合には全勝しており、平均失点は出場チームの中で抜きん出て少ない56.7点。この2か月で得られた確かな手応えと悔しさが、きっと彼女たちをさらに強くするはずです。

U18日清食品トップリーグ レポート画像 3位に入った岐阜女子は最終日、大阪薫英女学院に予想以上の大差を付けて快勝し(82-66)、良い形で大会を終えました。成熟した絶対的エース#4絈野夏海選手(3年/172cm)は、厳しいマークをものともせず3ポイントシュート6本を含む29得点。

また、安江満夫コーチが「ようやく1人前の働きができる選手へと成長しました」と評価した#8ジュフ ハディジャトゥ選手(3年/186cm)も21得点、15リバウンドを挙げました。大会を振り返れば、絈野選手がケガで欠場した桜花学園戦で初黒星を喫したものの、京都精華学園に延長戦で敗れた以外の5試合には勝利。上位2チームと比べても遜色ない強さを証明しました。

U18日清食品トップリーグ レポート画像 大阪薫英女学院は、開幕から破竹の5連勝を飾り、終盤に桜花学園、岐阜女子に敗れたものの4位にランクインしました。双子の#4木本桜子選手、#6桃子選手(ともに3年/167cm)、経験豊富な大黒柱#5島袋椛選手(3年/175cm)を軸に、“取られたら取り返す”という攻撃的なバスケットは見ていて痛快です。

中でも9月30日(土)、京都精華学園に鮮やかな逆転勝利で土を付けたことは大きな自信となりました。1年生で唯一スタメンに入った#11三輪美良々選手(177cm)らも貴重な経験を積み、チームも底上げされた様子です。

U18日清食品トップリーグ レポート画像 初出場の札幌山の手は2勝5敗で5位。開幕から苦しい4連敗となり、上位チームには大差で敗れる悔しさを味わいましたが、Wエースの#7谷口憂花選手(3年/174cm)や#8大山瑚南菜選手(3年/176cm)も活躍を見せて千葉経済大学附属(千葉県)と精華女子(福岡県)に勝利。

キャプテン#4巻朋花選手(3年/166cm)のリーダーシップや、1年生ガード#14高橋優希選手(167cm)の成長も光りました。

U18日清食品トップリーグ レポート画像 6位の精華女子は、早い段階で2勝目を挙げて中位に位置していましたが、ウインターカップ予選のケガで#44アキンデーレ タイウォ・イダヤット選手(1年/188cm)が戦線を離脱し、「プランを大きく変更することになりました」(大上晴司コーチ)と、終盤は連敗が続く結果となりました。

とはいえ、今大会で約8か月ぶりに実戦復帰となった#7清藤優衣選手(2年/171cm)が主軸の一人として台頭するなど、収穫は少なくありません。最終日の札幌山の手戦も、第1クォーターや第3クォーターの得点では上回り、敗れはしたものの良い兆しも見せて大会を終えました。

U18日清食品トップリーグ レポート画像 最終日、聖和学園(宮城県)を77-71で破り、うれしい初勝利を挙げて7位に滑り込んだのが千葉経済大学附属です。池端直樹コーチは「負け続けたけれど、負け慣れないようにしようと。相手関係なく一生懸命、後悔のないゲームをしようと言っていました。それぞれに意識が変わってきて、終盤、成長を実感できたと思います」と大会を振り返ります。

得点ランキング2位の#4角陽菜多選手(3年/177cm)、アシスト3位の#5坂口彩花選手(3年/167cm)の両エースのみならず、2年生の#7牧野琉依選手(2年/164cm)ら、周りの選手たちにも積極性が増し、チームは大いに底上げされました。

U18日清食品トップリーグ レポート画像 千葉経済大学附属と同じ1勝7敗で、直接対決の結果、8位となったのが聖和学園です。泥臭くチームを支える#4高瀬ゆのか選手(3年/175cm)ら、最上級生が縁の下の力持ちとなり、2年生の#9阿部友愛選手(2年/175cm)、#8内田理香選手(2年/178cm)がスコアラーとして存在感を放ちました。阿部選手は桜花学園に通う双子の姉・#9心愛選手(2年/175cm)との対決も大きな刺激になった様子。スティールでもランキングトップの数字を残しており、2年生エースとして攻防にわたり活躍しました。

大会期間中、とあるコーチがこんな話をしていました。
「リーグ戦で優勝するチームこそ、真の日本一だと思います。トーナメント戦というのは短期間の戦いだけれど、リーグ戦は数か月にわたる長丁場で、ケガもあればコンディション不良もある。それでも負けないで優勝するというのは、勢いではなく、本当の実力がなければ勝てません。それは実際に出場してみて、改めて実感したことでした」

その意味では、京都精華学園が“真の王者”に輝いて最強を証明した今大会。しかし打倒・京都精華学園をもくろむ2位以下のチームも、決して大きな実力差があったわけではありません。きっ抗したU18世代トップチーム同士のハイレベルな激闘は、それぞれが成長していく大きな糧となったはず。来年度も、日本中を“沸かす”熱い戦いに期待したいと思います。

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