U18日清食品トップリーグ2023 (男子) 大会レポート
全勝優勝の開志国際「選手たちの頑張りから勇気をもらった」
昨年度に新設され、2年目の開催となったU18日清食品トップリーグ2023。9月9日(土)の開幕から11月19日(日)の最終日まで、全国各地で約3か月にわたりU18世代トップの8チームによる総当たり戦が繰り広げられました。最終的にU18日清食品トップリーグ2023チャンピオンに輝いたのは、初出場の開志国際(新潟県)。次いで準優勝が東山(京都府)、3位が福岡第一(福岡県)という結果になりました。
「去年、大会を映像で見ていた側としては、現場に来て『いやぁ、すごく大きな大会なんだな』と。プログラムもしっかり組まれているし、高校生にとってすごく良い経験になるなと7試合を通して感じました。携わる関係者の皆様には感謝しかありません」
優勝後、そう語ったのは富樫英樹コーチです。昨年は不出場だった開志国際にとって、全国各地を飛び回る長丁場の戦いは未知数でしたが、終わってみれば7戦全勝。実際に経験してみると、外側からは分からなかった数々のメリットが見えてきたそうです。
その一つが「夏まであまり経験のなかった選手たちがすごく伸びて、チームが底上げされた」ことと富樫コーチ。このU18日清食品トップリーグ2023では全試合で10人以上のメンバーを起用し、経験を積みながら一人一人が大きくレベルアップしました。富樫コーチは以前からよく、選手起用について「選手が悪いわけではなく、僕に使う勇気がなかっただけ」という言い方をします。今年のインターハイも、接戦の試合はスタメン+シックスマンの6人だけで戦い、「疲労が溜まってしまった部分がありました」と明かしていました。
ただ、このU18日清食品トップリーグ2023を戦い終えて「子どもたちの頑張りから、勇気をもらいました。『起用しても大丈夫だな』という感覚があります」と目を細める富樫コーチ。今年度初タイトルを価値ある全勝優勝とともに得られた“勇気”を胸に、2冠を目指してウインターカップは総力戦で戦い抜く構えです。
準優勝となった東山も、開志国際戦以外の6試合には勝利。敗れた開志国際戦でも第3クォーターに一時16点リードを奪うなど、リズムに乗ったときの爆発力を遺憾なく披露しました。特にキャプテンの#4佐藤友選手(3年/189cm)は、得点ランキングで1位、リバウンドランキングで3位(日本人1位)と、仲間を引っ張る大車輪の活躍。また、控えの3年生たちもディフェンスに気を吐いてインターハイの頃よりも存在感を増していました。
昨年度は全国大会に出場できずに苦しんだ東山にとって、これまでの無念を晴らすような、たくさんの収穫を持ち帰る大会となったことでしょう。
次いで3位の福岡第一は、開幕から破竹の5連勝を飾り、前年王者として安定感ある強さを見せました。ケガ人もいる中、終盤は強敵の開志国際、東山に敗れましたが、選手一人一人が貴重な経験を積んだことは確かです。
中でも1年生の#33宮本聡&#35耀兄弟(ともに1年/168cm)は、激しいプレッシャーディフェンスを武器にこのU18日清食品トップリーグ2023で全国デビューを飾り、確かな爪痕を残しました。チームの武器を増やせたことは、今後ケガ人が戻ってきた際にも大きなプラスとなるでしょう。
出場チームで唯一、インターハイに出場していないのが福岡大学附属大濠(福岡県)。今大会は未知数な戦いとなりましたが、4勝3敗で4位の好成績を残しました。
戦いを重ねながらリーグ戦終盤にかけて調子を上げていった印象があり、今大会の最終戦では開志国際に68-73と肉薄しました。#8渡邉伶音選手(2年/204cm)や#13湧川裕斗選手(2年/181cm)、#14高田将吾選手(2年/189cm)ら、主力の下級生が経験を積んで頼もしく成長しています。
5位の仙台大学附属明成(宮城県)は、序盤で苦しい3連敗を喫しましたが、10月9日の藤枝明誠戦を2点差(76-74)で制して初勝利を挙げると、続く中部大学第一戦にも90-60と点差を付けて勝利。
また、最終日にも北陸(福井県)相手に激しいディフェンスを仕掛けて第1クォーターから主導権を握り、73-56の快勝で今大会を締めくくりました。今大会から指揮官に就任した畠山俊樹コーチは、手探りの状況ながら多くの選手たちを起用してチームを形作り、特にディフェンス面で確かな手応えを得た様子です。
6位の北陸は2勝5敗。インターハイでは1回戦敗退という苦い経験をしましたが、このU18日清食品トップリーグ2023では後にアシストランキングで1位を獲得するエース#4木下遥陽選手(3年/180cm)を軸に、2戦目の中部大学第一(愛知県)戦や10月7日の藤枝明誠戦で勝利を挙げています。
2ガードの形を組むなど、インターハイから少しメンバーの起用法を変えることで選手層も厚くなりました。主力に下級生が多いだけに、今大会での経験は来年度の各大会にも大いに生かされるでしょう。
7位の藤枝明誠は、大黒柱の#99ボヌ ロードプリンス・チノンソ選手(2年/205cm)が開幕直前にケガで離脱するアクシデントもあり、開幕から6連敗と苦戦しました。それでも最終戦にはロードプリンス選手も復帰し、中部大学第一に圧勝して明るい兆しを見せています。
ロードプリンス選手が不在の間、長い出場機会を得た#25片山ジャズィエル選手(3年/188cm)ら、周りの選手が成長したことで「プリンスが下がっても大丈夫だという安心感が生まれました」と金本鷹コーチ。エースの#12赤間賢人選手(3年/186cm)もポイントガードに挑戦するなどプレーの幅を広げており、戦い方のバリエーションを夏から確実に増やしています。
8位の中部大学第一は、7試合で白星は挙げられなかったものの、北陸や福岡第一には10点差以内の接戦を演じました。中でも1年生の#6西村謙槙選手(1年/178cm)や大会途中にケガから復帰した#7清水祥敬選手(1年/196cm)は、今大会で高いポテンシャルを披露。
このU18日清食品トップリーグ2023が今シーズン最後の全国大会となりましたが、下級生主体なだけにこの悔しさは来年度以降の糧となるはずです。
以上8チームによって、数々の熱戦が繰り広げられたU18日清食品トップリーグ2023。今年度は全試合、有観客で行われたこともあり、U18世代トップレベルの試合を全国各地の大勢のファンが見守りました。
特に国立代々木競技場 第二体育館で行われた最終週は、超満員の会場で華やかな演出がなされ、コートの選手たちもいつも以上の力が引き出されたのではないでしょうか。また、長丁場の戦いを通じて、各チームの成長が見られたのもこのU18日清食品トップリーグの醍醐味です。初開催の昨年大会に負けず劣らず、2年目の今年も多くの人たちの記憶に残る大会になったことでしょう。来年度も、日本中を“沸かす”熱い戦いを楽しみに待ちたいと思います。
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