阿部心遥「今日は『変わろう』という思いで」 盛岡白百合学園(岩手県)
盛岡白百合学園(岩手県)は9月16日から18日にかけて行われた「U18日清食品 東北ブロックリーグ2023」を1勝4敗で終えました。最下位という結果でも、わずか3日間の大会期間中にチームには前向きな変化が見られました。 大会2日目の福島東稜(福島県)戦では63-92で敗れました。それでも前半終了時点では37-39と、下級生主体のチームながら今大会の優勝チームを相手に互角の戦いを繰り広げています。
濱屋ヘッドコーチは「主力不在の中でも、もっとやれることはありました。試合の入りで太刀打ちできない雰囲気が出てしまったのはチームの弱さ」と振り返り、試合後は3年生だけを集めてミーティングを実施。「こういう状況の時はキャプテンの脊戸新太を中心に、3年生全員でカバーして引っ張っていくことが大事。最後に北陸学院として結果を出して、大学、次のステージへ行くぞという思いが足りないんじゃないかという話をしました」 難しい試合の中で、濱屋ヘッドコーチが収穫として挙げたのは、チームハイの21得点を挙げた2年生の須﨑陽大選手の活躍です。前の週に行われた新人大会の決勝、金沢市立工業との試合でも21得点をマークし、優勝の立役者となりました。これまでは「3年生の縁の下の力持ち」であまり目立たなかったそうですが、新人大会での活躍が自信となり、その自信を良い形で「U18日清食品 東北ブロックリーグ2023」へと持ち込みました。
チーム唯一の3年生、阿部心遥選手は試合後にこう語ります。「チームが過渡期にある今変わろうとしなければ、これからも変わることができないと先生からは言われています。今日は『変わろう』という思いで福島東稜さんに粘り強くついていき、点差を少しでも縮めようと頑張りました。でも後半が進むにつれてスタミナが削られていき、自分たちがやるべきことがおろそかになってしまいました」 盛岡白百合学園のインサイドでは2年生コンビの昆真叶選手と伏原慶選手が身体を張り、リバウンドを取ると阿部選手を始めウイング陣が走って速攻を出すシーンが何度も見られました。その中で阿部選手は170cmの身長を生かしたインサイドプレーに3ポイントシュート、キレのあるドライブとオールラウンドなプレーでチームを引っ張っていました。
小川陽ヘッドコーチによれば、阿部選手は3年生になってセンターからフォワードへとコンバートされ、3ポイントシュートを打ち始めたのは今年になってから。小川ヘッドコーチは「2年生をインサイドにしたほうがチームが機能すると見て、走ればスピードがある阿部には、そこを生かして外のプレーをやってもらっています。3ポイントシュートはまだ打ち始めたばかりで、ようやく入るようになったところです」 唯一の3年生としてチームを引っ張り、ポジションを変えて3ポイントシュートも新たに習得する。阿部選手にとってはすべてが新しい体験で、その一つひとつが簡単ではありませんが、それに取り組むことで「今まさに変わろうとしている」ところです。
阿部選手は言います。「私より大きい2年生が2人いて、中で頑張ってくれています。私は3ポイントシュートやドライブで少しでもチームに貢献できるようにと日々努力したいです。下級生のみんなも一人ひとりが自立して、必死に頑張ってくれているので、自分だけが大変とは思いません」 「U18日清食品 東北ブロックリーグ2023」はなかなか勝てない結果に終わりましたが、阿部選手もチームもここできっかけをつかみ、よい方向へと変わりつつあります。その成果は、きっと目に見える形で表れるはずです。
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