福里寧彩「チームの士気が上がる言葉を意識して」 日本航空石川(石川県)
日本航空石川(石川県)は「U18日清食品 北信越ブロックリーグ2023」で初優勝を飾りました。初戦で県立足羽(福井県)との接戦を1点差で制すと、2戦目の開志国際(新潟県)戦でも2点差と際どい試合を勝ち切ります。 12月9日、3連勝で迎えた最終戦の相手は東海大学付属諏訪(長野県)。しかし、留学生プレーヤーのアデバンジョ・ブレッシング選手は入試と重なり欠場することに。身長186cmの攻守の大黒柱が不在となれば戦力ダウンは大きいですが、選手たちは必勝を期して福井の試合会場に乗り込みました。
普段はブレッシング選手とインサイドで組むパワーフォワードの福里寧彩選手は、静かに気合いが入っていました。河村和真アシスタントコーチによれば「普段は元気がいいんですけど、試合になると思い切りの良さが出なくて、もっと『自分が、自分が』でいい、留学生プレーヤーに頼らずに4番ポジションで得点を狙ってほしい、といつも言っています」という福里選手ですが、この試合ではそのアドバイスがなくても、攻守にチームを支える気迫がみなぎっていました。 その福里選手は「いつも留学生にパスを出すのが役目ですが、今日は自分が常に1対1を狙いました」と積極的に攻めます。「最後のシュートがなかなか決まらず、そこで点が止まってしまいました」という反省はあったものの、エース不在の状況でチームに勢いを与えるプレーを見せました。
福里選手は「オフェンスでは相手の裏を突いてのドライブイン、ディフェンスでは相手のセンター強く当たられても最後のシュートチェックまでいけるようになりました」という、このリーグ戦を通じての自身の成長を存分に発揮します。攻守の積極性とともに目立ったのがコミュニケーション能力でした。プレーが止まるたびに、また試合が動いている時にも常にチームメートに声を掛け、チーム一丸で戦う姿勢を打ち出しました。「ディフェンス頑張ろうとか、ここ1本決めようとか。たいしたことは言っていないんです。それでもチームの士気が上がる言葉を意識していました」と福里選手は言います。 こうして日本航空石川は苦しみながらも集中を切らさず、粘りのバスケを展開していましたが、攻守を支えていた福里選手にアクシデントが起きます。第3クォーター終盤、ゴール下で強引にシュートを狙った際の着地で足首を捻挫。応急処置を済ませてコートに戻ろうとしますが、コーチは無理をさせませんでした。
日本航空石川は福里選手に限らず全員がブレッシング選手の穴を埋めるべくディフェンスとリバウンドに奮闘していました。福里選手は「ベンチでもできるのは声掛けだなと思って」と、コート上で戦うチームメートたちを鼓舞し続けましたが、チームは最後に力尽き、51-71で敗れました。 優勝の報が届いたのは、その翌日でした。日本航空石川と県立足羽が3勝1敗で並び、リーグ初戦の直接対決の1点差勝利により優勝が決まったのです。大黒柱のブレッシング選手の他にも入試などと重なりプレーすることが多かった中で、接戦を制することができたのはチーム一丸でディフェンス、リバウンド、ブレイクを頑張った証。東海大学付属諏訪との試合で福里選手が見せたような『ネクスト・マン・アップ』のメンタリティが引き寄せた初優勝でした。
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