安孫子茉央「負けたこと以上にたくさん学べました」
県立山形中央(山形県)
県立山形中央は、ガードの米村藍選手のアウトサイド、センターの宮林美優選手のインサイドを軸に、ボールと選手を動かしながら得点チャンスを生み出すスタイルのチームです。
2月の東北新人選手権大会、6月の東北ブロック大会と連続で準優勝に輝いた県立山形中央が、2年連続の出場となる「U18日清食品 東北ブロックリーグ2024」の目標に掲げたのはもちろん優勝です。しかし、初戦の福島東稜(福島県)戦から宮林選手ら主力が複数欠場するアクシデントに見舞われ、翌日の聖和学園(宮城県)にも敗れて連敗スタートとなったことで、茂木卓矢コーチは多くのメンバーにチャンスを与え、新しい戦術に取り組む機会としました。
キャプテンの安孫子茉央選手も初戦を体調不良で欠場しており、2勝3敗で4位に終わった結果に悔しさをにじませながらも、多くの手応えを得た大会になったと振り返ります。「東北のレベルの高いチームと試合する中で、自分たちの課題と良かったところが明確に分かり、とても勉強になりました。自分たちの武器は、ドライブからの合わせやダイブなんですが、強い相手と対戦するとヘルプに早く寄られたりして上手くいかないところが結構あって、そこで選手同士でコミュニケーションを取りながら改善できました。戦術的にも、この大会から新しいディフェンスのシステムに挑戦できたし、負けたこと以上にたくさん学べました」
今年の県立山形中央はおとなしい性格の選手が多く、安孫子選手は「上手くいかない時に黙ってしまうところがあります。それを直さないといけないというのは全員が感じています」と話します。
選手たちは、この課題についても大会を通じてアクションを講じました。盛岡白百合学園(岩手県)戦、県立山形中央は出だしからペースをつかめず、その後も状況を打開することができずに敗れました。試合後、自分たちのコミュニケーション不足が敗因だと感じた選手たちは、お昼ごはんを食べながら「次の試合ではこうしよう」、「ここがダメだったからこう改善しよう」と、それぞれが自分の意見を出し、たくさんのことを話し合ったそうです。
その改善点をしっかりと意識して戦った県立青森商業(青森県)、翌日の県立湯沢翔北(秋田県)との試合では、選手同士で交わすコミニケーションが増え、プレーの内容も良くなって、連勝して大会を終えることができました。安孫子選手は「あの負けはすごくプラスになりました」と振り返りました。
東北新人選手権大会の決勝で30得点を叩き出すなど突出した得点力を備えた米村選手、U18日本代表として「日・韓・中ジュニア交流競技会」に出場した身長180cmの宮林選手という二枚看板は、県立山形中央が誇る大きな強み。茂木コーチはこの2人をうまく生かしながら、他にも攻撃の起点となれる選手の登場を心待ちにしています。
リバウンドやディフェンス、ルーズボールなど泥臭いプレーで力を発揮し、チームの潤滑油として機能している安孫子選手も、「2人以外のところでも合わせのプレーなどで攻められる部分を増やしたい」と語ります。「2人が攻めやすいように周りが合わせたり、リバウンドに全員が絡んでオフェンスの回数を増やしたり、ボールに触ってない時間でどれだけ5人が上手く連携できるかが大事です。シュートに向かうことはもちろん、シュート以外の見えにくい部分も全員で頑張っていくことを意識しています」
彼女たちが目指すのは、全員が連携して攻守に一体感のあるバスケットボール。「U18日清食品 東北ブロックリーグ2024」でたくさんの財産を手に入れた県立山形中央の挑戦は、これからも続いていきます。
「U18日清食品ブロックリーグ2024」 会場での観戦情報
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