今夏に3年ぶりのインターハイ出場を果たした前橋育英は、全国上位チームへの返り咲きを目指し、力をつけています。チームの指揮を執る田中亮多ヘッドコーチは同校のOBであり、2018年には関東の強豪、国士舘大学でキャプテンを務めていました。大学卒業後に母校で指導者としてのキャリアをスタートさせ、2年前にヘッドコーチに就任。同じくOBで地元の群馬クレインサンダーズなどで活躍していた元プロ選手の小淵雅史アシスタントコーチが、田中コーチをサポートしています。
関東の強豪と多くの実戦をこなす「U18日清食品 関東ブロックリーグ2024」で、田中ヘッドコーチは様々なトライを行いながらも、あくまで勝利を目指すと語ります。「去年は勝てなかったことで、レベルの高い大会での試合経験が足りていません。このリーグ戦を通して接戦を勝っていく経験値を高めたい」と田中コーチは語ります。
前橋育英の特徴の一つに挙げられるのはタイムシェアで、田中コーチは全国での戦いを見据えた上で、「勝ち上がるには同じ選手がずっと出ているのでは苦しいと感じています」と話します。タイムシェアによる全員バスケの利点を生かし、40分間を通してディフェンスで激しいプレッシャーを掛け続けること。そこから素早く攻守を切り替え、アップテンポな展開に持ち込むことを目指します。
タイムシェアを生かしたアップテンポな展開に持ち込むためのキーマンが3年生の高橋駿介選手です。シックスマンとして起用されていますが、コートに入るとすぐにスピードを生かしたドライブを積極的に仕掛け、エース級の働きでオフェンスを牽引します。
高橋選手の突破力は、トランジションから一気にフィニッシュに持ち込むことができ、トランジションに持ち込めない場合も個人能力で相手ディフェンスを切り崩すことができます。彼の力強いドライブは前橋育英の目指す堅守速攻からの得点に直結しています。
その高橋選手は「チームとしても個人としてもレベルアップしたいです。試合中に密にコミュニケーションを取りながら、一つでも多くを学んで成長していきたいです」と語り、チーム全員で戦う方針を理解してシックスマンの役割をこう受け止めています。「先発ではありませんが、僕はそれもプラスにとらえています。ベンチから相手の守り方を観察してから出られる利点を活用して、相手ディフェンスによって攻め方を変え、ターンオーバーをせずに効率良く点を取ることを意識しています」
その言葉通り、相手ディフェンスを読み解くバスケIQと、それに応じた様々な攻め方ができるプレーの幅の広さが高橋選手の強みです。「ブレイクになったらガツガツ行きますが、ハーフコートオフェンスではピックを使って崩していき、ノーマークの味方がいればパスを出します。そうでない時は自分でアタックして、ファウルをもらっていくことも目指しています」
アグレッシブさと冷静さを良いバランスで兼ね備えている高橋選手が理想とするのは、NBAの若きスター選手です。「サンダーのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーが大好きで、彼のプレーをずっと見ています」と高橋選手は笑顔で語ります。
NBAでも屈指の得点力とクリエイト力を備えた選手を参考にして、そのプレーを取り入れる高橋選手。悪い流れは断ち切り、良い流れは加速させる彼の活躍は、前橋育英のステップアップに欠かせないものとなっています。
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