唐原璃子「一人が頑張っても試合には勝てない」
大阪桐蔭(大阪府)
大阪桐蔭は「U18日清食品 近畿ブロックリーグ2024」を4勝1敗で終えました。三田松聖(兵庫県)と勝敗で並びましたが、直接対決の差で2位となり、2年連続の優勝を逃しました。どちらも3勝0敗で迎えた11月23日の直接対決では、サイズと個人能力の高い三田松聖に第3クォーターに突き放されます。55-73で迎えた第4クォーターに猛追するも及ばず、78-94で敗れました。
今年の大阪桐蔭はサイズの小さなチームで、その不利をチームディフェンスで埋め、シュート力で埋めて戦うチームでした。リバウンドとルーズボールに食らい付き、速い展開に持ち込んで3ポイントシュートを決める戦い方で、夏のインターハイではベスト16進出を果たしています。しかし、ウインターカップ予選で敗れ、全国の舞台に再び挑むことはできませんでした。
新チームに切り替えて戦うという選択肢もありましたが、戦い方も起用法も変えることなく、「U18日清食品 近畿ブロックリーグ2024」最後の2試合に臨みました。この意図を市川藤乃ヘッドコーチはこう説明します。「これまで頑張って来た3年生はここで終わりではなく、大学でもバスケを頑張る子たちです。なのでこの大会で勝つ、次に繋げる、後輩たちに残すという3つのモチベーションでやってくれました」
三田松聖に奮闘及ばず敗れたことについて「このチームには自信がない選手が多いので、成功体験を最後につかんでくれたらと思いましたが、崖っぷちに追い込まれないと強気で行けない課題が出てしまいました」と市川ヘッドコーチは語りますが、こう続けてもいます。「自分の壁は自分で乗り越えなければ、周りが何と言おうと乗り切れません。だから結果よりもその過程を大事にしようとずっと言ってきました。ゴールはまだ先ですが、コツコツやっていくしかありません。大学で花開くかもしれないし、3年生は1月の卒業までにクリアできるかもしれない。そのタイミングは人それぞれ違うので、そこまで逃げずに向き合ってほしいです」
市川ヘッドコーチが一貫しているのは、この「逃げずに向き合う」です。試合中も責任から逃げるプレーには厳しい声が飛びます。その一方で思い切ってチャレンジしたプレーであれば、シュートが決まらなくても拍手で称えます。大阪桐蔭が大事にしている「逃げずに向き合う」を体現していたのが、キャプテンを務める唐原璃子選手でした。
「予選で負けてしまって、すぐには切り替えられませんでしたが、まだ『U18日清食品 近畿ブロックリーグ2024』の試合が残っていたので、チームでできていなかったことをもう一回やり直そうと練習してきました」と唐原選手は語ります。
唐原選手は昨年のウインターカップが終わったところで、市川ヘッドコーチからキャプテンに指名されました。もともと自分から発言するのが得意ではなく、引っ張ってもらうタイプだっただけに驚き、自分でいいのか、やっていけるのか、という不安がある中で「指名してもらったからには頑張ろう」とキャプテンを引き受けたと言います。
小さいチームが大事にすべきディフェンス、リバウンド、ルーズボールといったプレーは、試合でいきなり頑張ろうとしても上手くいきません。「日々の練習から全員が意識を高く持って、全力でやらないと身に着かないと思いました」という唐原選手は、苦手な声出しを頑張るとともに、チームの中で一番行動で示すことで全員を引っ張っていこうとしました。「一人が頑張っても試合には勝てないし、チームが一つになるにはやっぱりコミュニケーションをたくさん取らないといけない。チーム力が一番大切だということを、この3年間で学びました」
市川ヘッドコーチは唐原選手について、「成長のスピードは遅いかもしれないけど、逃げずにコツコツ頑張れるタイプ。表に出ないところでもキャプテンとして自覚を持って行動してくれました。この1年間でリーダーとして本当に成長したと思います」と、その頑張りを評価します。
11月24日の大会最終日、福知山成美(京都府)に118-43と大勝して有終の美を飾った大阪桐蔭。キャプテンの役割から逃げずに最後まで向き合った唐原選手は、「やりきりました!」と笑顔を見せてくれました。
「U18日清食品ブロックリーグ2024」 会場での観戦情報
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