あきらめないチームの大黒柱、千葉有哉「みんなを支えていきたい」
奈良育英(奈良県)
一発勝負のトーナメントは負けたら終了ですが、リーグ戦は負けても次の試合でトライすることができます。「U18日清食品 近畿ブロックリーグ2023」に出場している奈良育英(奈良県)は、京都精華学園(京都府)との初戦を42-90で落とし、翌3日の報徳学園(兵庫県)との試合でも48-93と大差で敗れてしまいました。
奈良育英の大和友哉コーチは今大会の目的をこう語ります。「全国で戦うのがチームの目標です。ここでは全国大会に出るようなチームとたくさんゲームができるので、その目標に向けてチーム力を上げることが今大会の目的です」
今夏のインターハイでは1回戦負け。インターハイは3年連続、ウインターカップは4年連続の出場と、県では勝てるチームになりましたが、全国の戦いはレベルが違います。そこで戦えるチームになるために必要な要素は多々ありますが、その一つに留学生プレーヤーへの対応が挙げられます。今大会に出場している6チームのうち3チームが留学生プレーヤーを擁しています。大和コーチは「留学生の守り方だったり、『留学生慣れ』は、こういうゲームの中でやっていかなければ」と言います。
『留学生慣れ』はインサイドでマッチアップするフロントコート陣にとっては特に重要です。奈良育英のパワーフォワード、千葉有哉選手は京都精華学園戦で留学生プレーヤーと多くの時間でマッチアップしました。身長188cmの千葉選手が挑んだ2名の留学生プレーヤーは205cm、203cmとともに2メートル超え。身体を張ってボックスアウトをしても、その上から長い腕が飛び出てリバウンドを奪われるシーンが多々ありました。
千葉選手はゴール下での攻防について「身体を当てるだけじゃダメだなって。今までの感覚でやっていたら勝ち目がないと感じました。留学生との対戦は初めてじゃないですけど、公式戦では久しぶりにやったので、まだまだ足りないなと思いました」と振り返ります。
試合中千葉選手はずっと身体を張り続け、時には後輩にアドバイスを送ったり、チームを鼓舞したりと、常に前向きに戦っていました。「僕は2年生の時から試合に出させてもらっていて、みんなより経験があるので、みんなを支えていきたいなといつも心に留めています。自分が身体を張ることでみんなを元気つけていきたいので、まずは言われたことを徹底してすべてやろうと思っています」
この京都精華学園戦は前半を終えて、14-53と非常に苦しい内容でした。これだけ点差が開いてしまうと心が折れてもおかしくありませんが、奈良育英の選手は千葉選手を筆頭に誰一人下を向くことなく、全力プレーを40分間続けました。
大和コーチは試合後のインタビューで厳しい表情を続けていましたが、選手たちのこの戦う姿勢に関しては、「やられているのかいないのか、分かってないんちゃうかなって(笑)」と冗談を言ってからこう続けました。「でも、それがウチの良さなんです。『やられても、やられてもくじけずにやる』というのは、いろんなところで言い続けています。今日も勝ち負けというよりは『練習をやろう』と言って来ているので、そこは良かったところです」
スコアだけ見ると厳しい結果となりましたが、誰一人としてあきらめることを知らない奈良育英は、この大会で多くの気づきを得て、チームとしてさらに成長するはずです。千葉選手は「このリーグ戦を通して、チームとして1対1の強さをもっと高めることと、シュート力も高めていって、全員で盛り上げられるチームにしてきたいと思います」と前だけを見据えています。
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