平尾紗菜と竹内花音「文武両道で明日をつかむ!」
県立草津東(滋賀県)
「U18日清食品 近畿ブロックリーグ2023」出場の男女全12チーム中、唯一の公立高校として参戦しているのが県立草津東(滋賀県)です。廣沢洋平ヘッドコーチは、この大会に参加する意義を「私達は練習試合でも他府県に遠征するのがなかなか難しく、こうして強豪校と戦えるのはとてもありがたい」と語ります。
9月2日の開幕戦は三田松聖(兵庫県)に70-60で勝ちましたが、翌3日の大阪桐蔭(大阪府)とのゲームは奮戦したものの69-83で落としました。「公立なのでまず部員を集める難しさがあり、今のメンバーは20名程度。ですのでどの試合も余裕がなく、チーム全体でタイムシェアしながら戦っていくしかない。この2試合で課題がたくさん見えました。それを前向きにとらえてやっていきたいです」と廣沢ヘッドコーチは語ります。
主軸メンバーの一人、3年生の平尾紗菜選手は3ポイントシュートやフックシュート、ブレイクからのレイアップと様々なパターンから得点を重ね、試合後には充実の表情を浮かべていました。「チームとして圧力のあるディフェンスができていたのは良かったです。ルーズボールやリバウンドを取ること、それに一人ひとりの能力をもっと上げていきたいです」
それでも、そこからのトランジションのスピードと質にはまだ向上の余地があります。この課題に向き合っている一人が、3年生の竹内花音選手です。チームで最も長身、179cmの高さを生かしたインサイドプレーを武器とする選手ですが、持久力や走力に課題があるそうです。それでも平尾選手は竹内選手について「手先が器用でシュートもうまい」と評しつつ、「一番すごいのは、普通科なのに部活にもこれだけ打ち込んでいること」と称えました。
進学校として知られる県立草津東には普通科と体育科があり、普通科で部活動をする生徒は減ってきているそうです。部活に入ったとしても3年のインターハイを最後に引退して受験に備える選手がほとんど。その中で、竹内選手は最後まで部活を続ける道を選びました。「勉強と部活、これまで両方を頑張ってきて、周りに必要とされていると感じているので、もう少し頑張ってみようかなって」
そもそも竹内選手はバスケをするために県立草津東に入学したわけではなく、周囲からの勧誘に応えて入部しました。当時はボールをまともに扱うこともできず、シュートも入らなかったそうです。「1年生のインターハイでメンバーに入れなかったり悔しい思いをたくさんしてきて、その分、自主練習などを頑張ってきました。だから今こうして試合に出てチームに貢献できるのがうれしい」と笑顔で語る竹内選手。勉強時間は電車の中で教科書を開いたり、工夫しながら捻出しているそうです。
廣沢ヘッドコーチは「勉強と両立してよく頑張ってくれていますが、バスケはもっと伸びます。もう一皮むけてくれたら」と期待を寄せます。草津東のスローガンは『文武両道で明日をつかむ!』。その言葉を100パーセント体現する竹内選手は、周囲からの期待を自身の力に変えて、最後の冬まで駆け抜けていきます。
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