オゼメナ カムスィ「きめ細かいバスケをもっと磨いていきたい」
星城(愛知県)
星城は四日市メリノール学院(三重県)を88-70で破った初戦を皮切りに、「U18日清食品 東海ブロックリーグ2024」の開幕から3連勝と波に乗りました。身長180cm台の選手が3人いるのを始め、サイズのある選手が揃っていますが、それでも鷲野鋭久ヘッドコーチは「きめ細かなバスケ」を突き詰めることで、星城を真の強さを備えたチームへと育てようとしています。
その中で目を引くのは、180cmの長身ながら精力的に足を動かすオゼメナ カムスィ選手がコートを躍動する姿です。カムスィ選手は両親がナイジェリア人ですが、生まれも育ちも日本です。チームの中でもトップクラスで「きめ細やかなバスケ」の遂行力が高い彼女は、堅守速攻をモットーとするチームの攻守の切り替えに合わせるだけのスピードと運動量を備え、リバウンドにルーズボールにと飛び込むアグレッシブさが光ります。
「U18日清食品 東海ブロックリーグ2024」の開幕3連勝にも大きく貢献。身体能力に任せたプレーではなく、足を使って精力的に動き続けられるのがカムスィ選手の持ち味。一番の特長はオフェンスからディフェンスに切り替える際の意識の高さであり、必要とあれば相手のポイントガードに高い位置からプレッシャーを掛けてボールを簡単に前に運ばせない、まるでガードのような激しい守備を見せます。
これまで女子日本代表の山本麻衣選手など多くの選手を育ててきた鷲野ヘッドコーチにとっても、カムスィ選手は自慢の教え子です。「バスケのきめ細やかさは得点ではないところ、オフェンスとディフェンスの切り替えに一番出ます。カムスィはディフェンス、リバウンド、ルーズボールで頑張れる選手で、特にルーズボールへの飛び込みを見てほしいです」
「ウチの共通理解として堅守速攻でオフェンスとディフェンスの空白の時間を作らない。そこをきちんとやり続けられるか。カムスィも完璧ではありませんが、今ではきめ細かいバスケをやり通せる、リーダーになれる選手になってきました」
カムスィ選手はこう話します。「中学2年生の時に鷲野コーチのチームと練習試合をやらせてもらって、そこから合同練習や練習試合をよくやるようになりました。その中で星城高校に誘っていただきました」
彼女とバスケの出会いは小学校4年生の時、学校の部活でした。当時から同級生の中でも一番背が高かったものの、上手くはなかったそうです。身体能力には恵まれているだけに、そのままのプレーでも通用したはずですが、彼女は真摯に上手くなることを目指しました。
「上のレベルになると私は一番身長が高い選手にはならないと思います。そこで他の選手と差を付けるには小さな選手たちと同じようにきめ細やかなバスケができること。留学生の選手と対戦する時もディフェンスのハードさでは負けたくないと思っています」とカムスィ選手は話します。
これだけのディフェンスとハードワークができるようになるまでに日々積み重ねた練習量は相当なものでしょう。「練習がキツかったり、人間関係が難しかったり、バスケをやめたいと思ったことは何度かあります。『普通の高校生活を楽しみたいな』って思うこともあります。でも、やっぱり両親にここまで支えてもらっているし、お母さんとお父さんのためにバスケをしたい気持ちがあります。辛い時とか私は下を向いちゃうんですけど、そういう時は周りのチームメートに支えてもらって、バスケを楽しめています」
それでもカムスィ選手は星城のチームリーダーであり、コート外でも寮長を務めるなど仲間からの信頼も集めています。そんな彼女はチームを代表して抱負を語ってくれました。「私たちは愛知県で桜花学園さんに勝つことを目標にしています。インターハイ予選では大差で負けていて、まだまだ力が足りませんが、この『U18日清食品 東海ブロックリーグ2024』で鷲野コーチのきめ細かいバスケをもっと磨いていきたいです」
「U18日清食品ブロックリーグ2024」 会場での観戦情報
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