高橋悠太選手「もっとみんなの役に立てる選手に」
県立一関工業(岩手県)
県立一関工業の高橋悠太選手は、190cmの高さと強靭なフィジカルを武器とするセンターです。「U18日清食品 東北ブロックリーグ2024」では自分よりサイズのある相手とのマッチアップでも一歩も引かずに奮戦するアグレッシブな姿勢が目立ちました。そんな彼にベンチからは「悠太、いいよ!」、「悠太、頑張れ!」といった声がたくさん飛び、彼がリバウンドを取ったりブロックショットを決めると、チームは一気に盛り上がります。
1勝3敗で迎えた大会最終日、ケガ人が重なった上にサウスポーシューターの古舘琉斗選手を県選抜の練習会で、司令塔の佐藤祐希選手を体調不良で、スタメン3人を含む6人の主力を欠いて強豪チームと戦うことになりました。
松岡隆博ヘッドコーチはこのピンチをチャンスに変えるべく、普段あまりプレータイムを得られない選手たちのチャレンジの機会ととらえます。高橋選手は県立福島商業(福島県)戦でほぼフル出場。相手の運動量に圧倒される展開でも身体を張った全力プレーを続けるとともに、経験の浅いチームメートたちを言葉で励まし続けました。
35-97の大敗に終わり、「きつかったです」と苦笑した高橋選手ですが、難しい状況でもファイトし続けられた理由を次のように語りました。「スタメンが2人しかいないし、プレーも上手くいかないし、途中で下を向きそうになったのですが、タイムアウトや交替でベンチに帰ると、みんなが『次はこうしたほうがいい』とか『今のプレーは良かったよ』とか、前向きな言葉をどんどんかけてくれました。みんなで沈んでいても仕方がないし、誰かが気持ちを切り替えなければと思い、自分が声を出そうと思いました」
インサイドで身体を張るだけでなく、チームのムードメーカーとしても重要な役割を果たす高橋選手は、実は中学まで野球に打ち込んでいて、バスケットボールを始めたのは高校に入ってから。長身ピッチャーとして市選抜にも選ばれた有望株でしたが、近所に住む県立一関工業の顧問の先生から誘われてバスケを始めたそうです。
ルールやシュートの打ち方も分からないところからのスタートで、「最初は知っている人もいないし、野球をやっていれば良かったと何度も思いました」と高橋選手は言います。それでもチームメートの励ましやアドバイスを受けて気持ちを前向きにする中、「最初は個人のプレーしかできませんでしたが、少しずつでも味方を助けられるプレーができるようになるのが楽しかった」と振り返ります。
下級生を引っ張る立場になったプレッシャーから、最上級生になって消極的なプレーが増えていた高橋選手に、「U18日清食品 東北ブロックリーグ2024」で見せたアグレッシブさを呼び覚ましたのも仲間の声でした。「この大会前に、友達や先生に『強気で行け』と言われたことで勇気が出て、『ミスを恐れず挑戦しよう』と思えるようになりました」
マッチアップする相手選手の特徴に合わせた駆け引きや、マンツーマンディフェンスの足の運び方。試合を重ねるごとに成長していく高橋選手に松岡ヘッドコーチは「見ていて本当に面白い選手です」と目を細めます。
高橋選手自身も成長の手応えを感じていると話したものの、「他のメンバーに比べたらまだまだ経験が足りません。もっと経験を積んで、もっとみんなの役に立てる選手になりたい」と今後の成長に貪欲です。「U18日清食品 東北ブロックリーグ2024」は、バスケ歴3年でまだまだ伸びしろの多い高橋選手を成長させる格好の舞台となりました。
「U18日清食品ブロックリーグ2024」 会場での観戦情報
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