今年が初開催となった「U18日清食品 九州ブロックリーグ2024」には、九州ブロック8県、そしてB.LEAGUE U18の琉球ゴールデンキングス U18が出場して、8月31日から12月1日まで1回戦総当たりのリーグ戦を行いました。優勝争いの行方は最終日までもつれましたが、県立美来工科が6勝2敗で並んだ九州学院(熊本県)と柳ヶ浦(大分県)との直接対決をいずれも制していたことで栄冠を手にしました。
宇地原尚彦ヘッドコーチは「沖縄のチームにとっては、九州各県の強いチームと公式戦ができる機会がありがたく、目の前の試合に全力で取り組むことで、そのメリットを最大限に得たいと考えていました」と話し、優勝については「本当を言うと、これっぽっちも考えておらず、表彰式の連絡をもらって『そうか、優勝の可能性があるのか』と思ったぐらいでした」と苦笑します。
優勝を意識したことで宇地原ヘッドコーチも選手たちも少し緊張して、それが2敗に繋がったかもしれないとのことでしたが、12月1日の最終戦を前に「最後は自分たちらしく良い試合をして大会を締めよう」と声を掛け合い、八女学院(福岡県)に勝って優勝を決めました。
琉球ゴールデンキングス U18は、5勝3敗の6位で大会を終えました。他のB.LEAGUE U18チームが高校のチームと対戦する機会がほとんどない中、琉球ゴールデンキングス U18は沖縄県内の高校チームとしばしば練習ゲームを行って試合経験を積んでいたと言います。それでも、九州のトップレベルのチームとの『力試し』は非常に楽しみなものでした。
優勝した県立美来工科との『沖縄対決』を63-52で制した他、チームとして楽しみにしていた留学生プレーヤーを擁するチームとの対戦でも瓊浦(長崎県)と八女学院(福岡県)に勝利しており、この大会でしか得られない経験がチームの新たな成長の糧となるはずです。
ディフェンス力をベースにB.LEAGUE U18らしい緻密な戦術を駆使する戦いぶりが通用したことで、与那嶺翼ヘッドコーチは「自分たちの方向性が間違っていないことが確認できました」と言います。与那嶺ヘッドコーチは現役時代にプロリーグでプレーし、2016年のB.LEAGUE創設を経験しています。B.LEAGUEが日本バスケのレベルを一気に引き上げたように、この『U18日清食品リーグ』によって、U18年代でも同じことが起きるのではないか」という期待感を、興奮気味に話してくれました。
強力な留学生プレーヤーを擁するチームを相手に、組織力で戦って結果を残したのが九州学院でした。スペーシングを意識してコートを広く使い、人とボールが連動して動き続けることでディフェンスに的を絞らせません。そして、相手の弱点を見付ければ徹底的に突いて3ポイントシュートを確率良く決め、試合のどこかでビッグクォーターを作り出してリーグトップの総得点679を積み上げました。
同じように日本人選手だけでも組織力で戦ったのが県立佐賀東です。こちらは3ポイントシュートの爆発力よりも、相手の出方に応じて変化するディフェンスと粘り強いリバウンドで自分たちのペースを保つ試合巧者ぶりが光りました。最後は4連勝で、大会を通じて成長が見られました。
県立美来工科の宇地原ヘッドコーチは面白い視点も持っていました。高校のコーチをやりながら、かつてはB.LEAGUEの試合で審判を担当していたという宇地原ヘッドコーチは、「審判の立場からしても貴重な経験です。この大会のおかげで各ブロックで審判のレベルは間違いなく上がりますよ」と、この大会のメリットはチームだけにあるのではないと語りました。
1位 6勝2敗 県立美来工科(沖縄県)
2位 6勝2敗 九州学院(熊本県)
3位 6勝2敗 柳ヶ浦(大分県)
4位 5勝3敗 延岡学園(宮崎県)
5位 5勝3敗 県立佐賀東(佐賀県)
6位 5勝3敗 琉球ゴールデンキングス U18(B.LEAGUE U18)
7位 1勝7敗 八女学院(福岡県)
8位 1勝7敗 県立川内(鹿児島県)
9位 1勝7敗 瓊浦(長崎県)
この記事をシェアする