「U18日清食品トップリーグ2025」は第2週を迎え、今夏の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)で準優勝を飾った日本航空北海道(北海道)が初戦を戦いました。相手は今大会すでに2試合を戦っている慶誠(熊本)。昨年も「U18日清食品トップリーグ」を戦っており、大会経験という面では上をいく相手です。
序盤は慶誠のリズム良い得点で日本航空北海道はビハインドの展開。緊張からか、持ち味のアウトサイドシュートは成功率が上がらず、良いディフェンスを見せても簡単なミスから逆に相手の速攻を許してしまいます。第2クォーター開始早々には#17 澤田樹奈選手(3年/163cm)に3ポイントシュートを許してたまらずタイムアウト。エース#6 庵原有紗選手(3年/180cm)に対しての慶誠の見事なローテーションディフェンスも、日本航空北海道が波に乗れない要因となっていました。
しかし、第2クォーターに入ると徐々に日本航空北海道がリズムをつかみます。ガード陣のプレッシャーとビッグマンの高さと機動力を生かしたディフェンスで慶誠の得点を封じ、残り4分16秒には日本航空北海道らしい速攻から#73 中村泉咲選手(3年/160cm)がレイアップを沈めて26-25と逆転。第2クォーターは相手に僅か6得点しか許しませんでした。
後半に入っても日本航空北海道のペースが続き、第3クォーター中盤には一時2桁のリード。結果的に一度も再逆転を許さずに70-59で初勝利を収めました。
4人が2桁得点と、バランスの取れた戦いぶりを見せた日本航空北海道にあって、オフェンスの軸となっていた一人が#1 宇都鈴々奈選手(3年/162cm)です。シューティングガードとしては小柄ですが、ポイントガードもこなせるスキルと高いシュート力、そして体幹の強さを生かしたペイントアタックでチームオフェンスを活性化。欲しいところで3ポイントシュートやドライブでスコアし、最終的にチーム2位タイの17得点と、同最多の9アシストを記録しました。
しかし、宇都選手は「勝ってうれしいというよりも課題が残った試合だった」と険しい表情で語ります。「試合の入りが良くない部分は今も改善点で、序盤から自分たちのバスケをしようと話していましたが、実際はインターハイのときのように前半は良くありませんでした。特に序盤でシュートが入らないのが課題。私たちはシュートが入ってこないとディフェンスでも頑張れないところがあって、逆にディフェンスを頑張ったらシュートも入り始めるので、特に後半はそこを意識しました」と序盤の苦戦を振り返ります。それでも、「ディフェンスを頑張った」第2クォーター以降は相手を38得点に封じながら、自軍は52得点。全国の強豪と戦う中で最初の10分間を改善すれば、チームはもうワンランク高みに到達できるはずです。
チームにとって初めての「U18日清食品トップリーグ」については、「やっぱりコート入ったときは緊張した」と言いますが、「自分たちはこの大会に出るのが初めてですが、慶誠さんは何試合もしていて経験豊富なので、試合前に『相手は経験豊富だけど、しっかり自分たちのバスケを40分間して、会場の雰囲気などにのまれないように集中しよう』と話しました。自分自身もチームもそう考えながらプレーしていくうちに、だんだん慣れていきました」と試合が進むにつれて楽しさが勝っていったと笑顔を見せました。
「笑顔」はプレー中の宇都選手の特徴でもあります。たとえ味方がミスをしてしまっても明るい表情で声を掛ける姿は印象的で、それは本人が意識していることでもあります。「まずは単純にバスケを楽しむという自分の中であって、楽しんだ者勝ちというか。あとはチームの雰囲気が暗いときに自分が笑顔になれば、チームも自然と笑顔になるかなと思って意識して笑顔でプレーしています。中学生の頃にキャプテンをやっていたんですけど、そのときはチームをうまく鼓舞できなかったんです。それで、高校ではキャプテンではないんですけど、チームを鼓舞できるような選手になりたいと思って、常に笑顔で声を掛けながらプレーするようになりました」
残り6試合は宇都選手のプレーとともに、その弾ける笑顔にも注目です。
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