桜花学園(愛知)と岐阜女子(岐阜)のライバル対決が実現した「U18日清食品トップリーグ2025」第2週目の第3試合は、スタンドを埋め尽くす観客の期待を裏切らない好ゲームとなりました。
互いにタイトなディフェンスを強みとするチーム同士の対戦でしたが、第1クォーターはそのスタイルに反するハイスコアに。両チームともにリズム良くシュートが決まり、ディフェンスをオフェンスが凌駕する展開が続きます。その中で常に一歩前を走っていたのが桜花学園。#6 竹内みや選手(2年/160cm)のドライブや#8 勝部璃子選手(2年/178cm)のバスケットカウントなどで着実に加点していたのです。
一方の岐阜女子もベンチスタートの#7 坂口みなみ選手(2年/171cm)が中外と積極的に得点を狙い、前半だけで16得点。第2クォーターに入ると持ち味のディフェンスがボディーブローのように桜花学園を苦しめ始め、残り7分27秒に逆転。そのままリードを保ってハーフタイム時点で42-39と3点を先行します。
後半に入っても点差は開かず、岐阜女子が離しにかかれば桜花学園が詰め寄る白熱した展開。リバウンドやルーズボールの気迫やワンプレーの強度と遂行力の高さは観客を大いに沸かせました。岐阜女子の5点リード(54-49)で迎えた勝負の第4クォーターは一時10点の差を付ける場面もあり、結果的に最後まで逆転を許さずに63-58でタイムアップ。「U18日清食品トップリーグ2025」の初戦で価値ある逆転勝利を挙げました。
「もう、めちゃくちゃうれしかったです。桜花学園さんが(インターハイで)日本一を取って、自分たちは6月の東海大会(第72回東海高等学校総合体育大会)の決勝で桜花学園さんに悔しい負け方をしていました。だから、この大会の、しかも初戦で対戦することになったので、みんなで絶対に勝つという思いで戦いました」
満面の笑顔で勝利を喜んだのは#5 杉浦結菜選手(3年/172cm)です。パワフルなドライブやジャンパーなどでオフェンスのトーンセットに一役買った彼女は、岐阜女子にとって“切り込み隊長”のような存在。「チームの中では点を取る立場だと思うので、最初から強気で自分が点を取ろうという気持ちでした」と、この試合でも14得点を記録。さらに6リバウンド、3ブロックとディフェンスでも奮闘しました。数字以上のインパクトあるプレーを見せた杉浦選手について、安江満夫コーチは「特に前半は杉浦でアドバンテージを取れました」と評価します。一方で「もっともっとやれると思う」とも話しており、要求は高いです。
それは1年生から経験を積んできた彼女を、真にチームの核として信頼しているからにほかなりません。振り返ると、2年前の「U18日清食品トップリーグ」で当時1年生だった杉浦選手、#4 三宅香菜選手(3年/172cm)、#6小松美羽選手(3年/163cm)のトリオは多くの出場機会を獲得し、エースの絈野夏海選手(東京医療保健大学)ら上級生と見事に融合。総合力の高いチームを作り上げました。
杉浦選手も当時の経験が今に生きていると話し、だからこそ今度は下級生に同様の経験をさせたいと話します。「私自身、2年前のU18日清食品トップリーグから試合に出させてもらって、経験を積むことができました。今年も1、2年生がだんだん試合に出始めているので、そういう子たちが試合に出たときにはしっかりと声を掛けて、自分が1年生で試合に出させてもらったときに上級生が支えてくれたように、今度は自分が下級生を支えてチーム全員で戦えるようにしていきたいです」
そんな頼もしい言葉を残す杉浦選手ですが、安江コーチいわく「オフコートでは本当におとなしい子」だそうで「どちらかというと言葉や動作でうまく表現するのは苦手なタイプ。内に秘めたものを持っている選手です」とのこと。杉浦選手自身も「強く言うことなどは苦手なタイプ」と苦笑いで認めつつ、「でも、そういうところもできるようにならないとダメだと思っているので、苦手だけどもっと声を掛けて、プレーでも言葉でもチームを引っ張っていけるようにしていきたいです」と話します。下級生に声を掛ける機会がより多くなる「U18日清食品トップリーグ2025」は、杉浦選手をさらに成長させる絶好の機会になるかもしれません。
杉浦選手が入学してからの過去2大会は、順に3位と準優勝。「U18日清食品トップリーグは出場するのが3回目なので、今回はもっと結果を出して絶対に優勝したい」と意気込む杉浦選手と岐阜女子は、チーム力を高めながら悲願の優勝を成し遂げることができるのか。残る7試合の戦いに注目です。
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