この夏、2年ぶりにインターハイに出場した開志国際(新潟県)にとって、「U18日清食品ブロックリーグ2025」はさらなる成長と自信を得るためのチャレンジとなります。
開志国際を率いる西村渉コーチは、リーグ戦のフォーマット変更を「ありがたい」と歓迎しています。「この時期はどうしても新潟県内や北信越など近隣の学校との試合が増えてしまう中で、全国の強豪と多くの試合ができます」
このリーグ戦で西村コーチが意識しているのは、『自分が指示を出しすぎないこと』です。「今日の試合もインターハイなどの映像を見てスカウティングして試合に臨みますが、試合が始まって分かることもあります。そこにアジャストする力を身に着けてほしい。だからこそ、ベンチから出ていくメンバーもしっかり試合を見て、どういうプレーが必要かを考えなければいけません。今日もあえて選手たちに考えてもらうようにしたのですが、難しかったですね」
開志国際には、3ポイントシュートの試投30本、成功率35%以上という明確なチームの目標があります。留学生がいないチームにとって、アウトサイドシュートが勝利に重要な要素であることは間違いありません。西村コーチは、「3ポイントで得点を取った上で、ツーポイントとフリースローをどれだけ上乗せしていけるかが勝負です」と語ります。
それと同時に、「昌平さんも留学生がいない中で、インサイドの17番(戸田ひかる)の選手はすごく上手でした。ウチもあれぐらいできるように頑張らないと」と、悔しそうな表情を見せました。この試合の開志国際は、普段はベンチから出る2年生のインサイドプレーヤーをスタメンで起用しました。西村コーチはリバウンドやルーズボールを追いかける下級生の姿勢を頼もしく感じながらも「もっと積極的にプレーしないと」と注文を付けます。
実際、試合序盤はインサイド陣がアウトサイドシュートを狙いすぎてペイントエリアに侵入するプレーが少なく、得点が伸びませんでした。リズムをつかめなかったゲームの空気感を変えたのは、ベンチから登場した3年生のポイントガード、内田壽音選手でした。
内田選手は160cmという小柄なサイズには見えないほど、ダイナミックなプレーが特徴です。思い切りの良いアタックで、それまで少なかったペイントエリアへと切り込み、そこからのキックアウトパスも効果的に決まることで、チームとしてオープンなシュートを作り出します。
アグレッシブなプレーで第2クォーターに開志国際が流れを引き戻すきっかけを作った内田選手は、自らの役割をこう理解しています。「入る時に意識しているのは、悪い流れを断ち切ることです。良い流れであれば継続して、悪い流れであればそれを断ち切って良い流れに持っていくことが役割だと思っています」
内田選手のもう一つの魅力がコミュニケーション能力です。この試合でも様々な場面で多くの選手と意見交換をするシーンが目立ちました。「フリースローの時に自分から声をかけて、みんなで話すようにしています。自分は3年生ですし、ポイントガードというポジションでもあるので、常に周りの動きを見るようにしています」
「その上で、今はどこが悪くてどこが良いのかをチームメートに具体的に伝えられるように意識しています」とポイントガードとしての責任をしっかりとコートで果たしていました。
あこがれの選手は、Wリーグの富士通レッドウェーブで活躍する町田瑠唯選手。 小さくてもスピードを武器に、周りの選手を生かしていく。そして、激しさと知的さを兼ね備えたディフェンスで試合の流れを作り出す姿は、彼女が考えるポイントガードの理想だと言います。
内田選手と長濱エリカマリア選手、3年生ガードの2人がこれまで以上に自信を持ってチームを引っ張ることが、開志国際がステップアップするカギとなります。彼女たちは、この大会でその自信をつかみ取るつもりです。
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