グリーンアリーナ神戸を舞台に、9月13日(土)から3日間にわたって「U18日清食品トップリーグ2025」第3週が開催されています。2日目の9月14日(日)は、岐阜女子(岐阜県)と精華女子(福岡県)の第1試合でスタート。今夏の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)では、両チームともに堅いディフェンスを生かして3位入賞を果たしており、試合は予想どおり見応えのあるハイレベルな展開となりました。
試合序盤は、#44アキンデーレ タイウォ・イダヤット選手(3年/189cm)がゴール下で奮起した精華女子がリードを奪いました。しかし、岐阜女子に流れをもたらしたのは、第1クォーター開始5分でコートに立った司令塔・小松美羽選手(3年/163cm)です。彼女は東海高等学校総合体育大会の決勝で膝を負傷し、今夏のインターハイは応援席で過ごしたエースガード。時期的に冬までの復帰すら危ぶまれる中、手術と驚異的な回復力によって、予想以上の早さでコートに戻ることができました。さらに驚くことに、交代して早々に逆転の3ポイントシュートを決め、チームを大いに盛り上げます。#10中林睦絵選手(3年/163cm)の3ポイントシュートも続き、精華女子にタイムアウトを取らせました。
その後、精華女子の#42ブバ アイシャエジネ選手(1年/188cm)にバスケットカウントなどを許しますが、岐阜女子は堅いディフェンスから#9北野空選手(3年/165cm)らが速攻を仕掛け、リードを渡しません。小松選手も前半だけで2本の3ポイントシュートを含む10得点を挙げ、復帰戦とは思えない大活躍でチームに勢いをもたらしました。前半を終え、岐阜女子が42-32と10点リードして折り返します。
後半も岐阜女子が10点前後のリードを保ち、精華女子が追いかける一進一退の展開が続きました。精華女子はイダヤット選手がゴール下で着実に得点を重ねて点差を縮めようとしましたが、岐阜女子は要所で小松選手や#4三宅香菜選手(3年/172cm)が3ポイントシュートを決めて応戦します。12点差で迎えた第4クォーターもディフェンスの手を緩めず、そのまま最終スコア73-64で、逃げ切り勝利を収めました。
小松選手は、復帰戦でいきなりチーム最多の18得点。安江満夫コーチは「彼女はケガをしても、下を向かずコツコツ努力を続け、チームに貢献してくれていました。それをバスケの神様がちゃんと見ていてくれた。それが本当にうれしいです。すばらしい選手と出会えて私は幸せ者ですね」と感極まった様子で目頭をハンカチでぬぐっていました。
小松選手自身も、ケガをする前と後でバスケットボールに対する姿勢が大きく変わったと感じているそうです。涙ながらにこう語ります。
「ケガでインターハイは観客席から応援する立場になり、コートに出られることは当たり前ではないんだと強く感じました。ケガをする前は、どこかで試合に出られることを当たり前に思ってしまって、感謝の気持ちはあったものの、今思えばそれも言葉だけだったのかなと思います。試合に出られない人の気持ちを体験したからこそ、コートに立つ人はみんなの思いを背負って戦わなければいけないと改めて思いました。自分がコートに出られるとなった今も、試合に出られない子や、ここに来られず学校で応援してくれている子がいます。だからこそ、絶対にやり切ろうという気持ちが強かったので、シュートを決めることができたんだと思います」
また、安江コーチは「小松がいない間、すごく手探りな部分がありましたが、周りの選手たちも経験を積んで成長してくれました」と話します。下級生に多くの出番があっただけでなく、主軸となる三宅選手や杉浦選手の自覚がさらに強まったり、北野選手がポイントガードに挑戦したりと、3年生たちもこの短期間でさまざまな学びを得ました。小松選手も「コートの外から見ているときも『みんな、かっこいいな。頼もしいな』と思っていましたが、今日一緒にプレーできて、やっぱり一緒にコートに立ってもみんな頼もしいです。『気を付けてね』『無理しないでね』と言葉をかけてくれたので、自分も心の余裕を持ってプレーできたと思います」と笑顔で話していました。
エースガードの復帰でチームの士気も高まっている岐阜女子は、ここまで3勝1敗です。安江コーチは「これが完全復帰ではありませんが、目安というか、自分たちのやるべきことが見えてきました」と手応えを語ります。チーム力をさらに磨いて、残り3試合にも全力で挑む構えです。
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