昨年、盛岡白百合学園(岩手県)は「U18日清食品 東北ブロックリーグ2024」の戦いで飛躍的な成長を見せて初優勝を勝ち取りました。全試合を終えて、盛岡白百合学園、聖和学園(宮城県)と福島東稜(福島県)の3チームが4勝1敗で並びましたが、3チーム間の得失点差により優勝が決定。最終試合となった福島東稜戦では、8点差以上のスコアで勝つことが優勝への条件でしたが、接戦の末、62-54の8点差で勝利を飾り、劇的な優勝を手にしたのです。
それから1年。昨年度の主力選手は卒業し、今年は下級生が中心となる新たなチーム作りに励んでいます。そのため、「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループD」では鵠沼(神奈川県)、県立岐阜商業(岐阜県)、安城学園(愛知県)を相手に3連敗のスタートとなりました。それでも小川陽コーチは「若いチームなので学ぶことが何より大事」と大会の目的を語ります。
「今年のブロックリーグは東北だけの戦いから拡大し、関東や東海のチームと対戦が組まれているので、行ったことのない会場で試合をすることになります。全く知らない土地に行き、対戦したことのない相手と試合をする環境の中で、どれだけ自分たちの持ち味を出せるか。そうした新しいチャレンジを前向きにとらえ、選手個々が自分の殻を破るきっかけとしてほしいです」
そうした若いチームで下級生をリードするのが、昨年の優勝を経験している3年生、ゲームキャプテンの平野由奈選手です。昨年はポイントガードとしてゲームメークを担当していましたが、今年は3ポイントシュートや1対1で得点を稼ぐスコアラーへと役割が変わりました。156cmと小柄ではありますが、ドリブルワークからの得点力には目を見張るものがあります。しかし本人は、黒星先行の状況に反省しきりでした。
「初めて対戦する相手に自分たちのバスケがどこまで通用するのか。それを確かめる貴重な経験になっていますが、まだまだ未熟なところがあります。自分たちの思い通りにできないディフェンスをされたときにどうするか、この点に関してまだアジャストが足りませんでした」
「自分たちは『その時どう動く』をテーマにしています。このリーグ戦では、オフェンスでもディフェンスでも仲間とコミュニケーションを図り、状況判断をする力をつけていきたいです」
小川コーチは、平野選手にこんなアドバイスを送っています。「相手に強いディフェンスをされて対応できない時も、3ポイントシュートを打つのをやめず、入るまで打ち続けてほしい。得点を取るには技術はもちろんのこと、入るまで打ち続けるメンタルの強さが必要です。このブロックリーグでは強豪チームと戦うことで、メンタルコントロールを身に着けられるよう、成長してほしいです」
小川コーチの言葉を聞き、平野選手もチャレンジする意気込みです。「今年のブロックリーグでは、対戦したことのない相手との試合で、少し引いてしまうところがありました。自分の仕事は得点を取ることなので、それを徹底して最後までやり遂げられるように、メンタルコントロールができる選手になりたいです」と目標を掲げた後、笑顔でこうも言いました。「関東や東海のチームと対戦するのが楽しみです」
昨年はリーグ戦を通じて、一試合ごとにチーム力を高めていった結果が優勝となりました。盛岡白百合学園は今年も、目の前の試合に全力で挑みます。そうすることで、エースの平野選手を始め選手個々が、小川コーチが願う「殻を破る」成長を見せてくれることでしょう。
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