県立城東(徳島県)は、ここまで「U18日清食品ブロックリーグ グループG」の5試合を戦って全敗を喫しています。このチームで留学生とマッチアップするのはキャプテンの橋本翔汰選手。強靭な足腰で簡単には当たり負けせず奮闘しますが、182cmの身長ではディフェンスでもリバウンドでも高さの不利がどうしても出てきます。
9月20日には高知中央(高知県)と対戦。セック ダマティル選手とンジー モハメド選手という200cm超えの留学生プレーヤー2人が代わる代わるコートに立ち、高さのミスマッチを徹底的に狙ってきます。橋本選手は粘り強いディフェンスで対応しますが、彼がファウルトラブルに陥ってベンチに下がると県立城東は苦しい状況に追い込まれました。「ボックスアウトは強くプレーしなければいけないところなのでファウルでも仕方ないです。でも、2つ目のファウルは自分がシュートを外したオフェンスリバウンドを取りに行って、手が相手の顔に当たってしまいました。あれは軽率なファウルでした」と橋本選手は悔しがります。
司令塔の阿部拓実選手が堅実なプレーメークを見せ、エースの西原優翔選手が思い切って放つシュートを決めることでチームは踏み留まり、コートに戻った橋本選手も再び相手ビッグマンに粘り強いディフェンスを見せます。こうして最後まで粘りを見せた県立城東ですが、最終スコア73-86で敗れました。
1勝をもぎ取るべく最善の準備をしてコート上で全力を尽くしても、結果が出ないのは苦しいものです。橋本選手はディフェンスとリバウンドを一手に引き受け、オフェンスでは精力的にスクリーンをかけることで味方にスペースを作り続けましたが、その努力は勝利に繋がりませんでした。
自分より大きなビッグマンとのマッチアップは大変な役目ですが、「このチームでそれをやるのは自分しかないと思っています」との覚悟を持って橋本選手はコートに立っています。
「県内ならともかく全国に行けば、自分より大きくて身体能力も高い選手を守るのが当たり前になります。新チームになった当初は戦う前から気持ちで負けていましたが、今はそうではなくて、上からダンクなんてできないですけど、ダンクに行くぐらいの気持ちで試合に臨むようにはなりました」
その強靭なメンタルが橋本選手の特長であり、チームを引っ張る原動力となっています。「勝てないのは厳しいですが、失敗しても暗くならず、成長できる機会がまたもらえたと受け止めるようにしています。失敗を恐れていては何もできないので、気持ちの部分、エナジーの部分では絶対に負けないよう意識して、自分で自分を奮い立たせています」
誰よりも真面目で、誰よりも努力家。阿部知裕コーチもその姿勢を称えた上で、「ウチの朝練はフリー参加なのですが、橋本は6時から来ています」と明かします。橋本選手に聞くと、不甲斐ないプレーに終わった去年のインターハイを機に、「こんな悔しい思いを二度としないために、もっとバスケに打ち込む」と決意するも、始発に乗っても学校に着くのは7時前後。橋本選手は自分の思いを両親に打ち明け、送り迎えを頼んだそうです。「家を出るのは5時過ぎです。お父さんが送り迎えを引き受けてくれて、お母さんはそれより早く起きて朝と昼の弁当2つを用意してくれます。思い切りバスケをやらせてくれる両親には感謝しかありません」
「自分の強みは負けず嫌いなところ」と橋本選手は話します。「自分より大きな相手とマッチアップしても、気持ちを前に出してやっていれば全部が全部負けるわけではなく、リバウンドを10本取られても、次の1本は取れるかもしれない。無理なことでもチャレンジする。ダメだったら次はやり方を変えてチャレンジする。バスケも勉強もそうやってチャレンジし続けるマインドでやっています」
高知中央と戦った翌日には、県立沖縄水産(沖縄県)と対戦。この試合でも高さの不利がある中で球際で泥臭く戦い、途中2桁のビハインドから盛り返して第3クォーターに追い付く健闘を見せますが、相手も全力です。県立沖縄水産の嘉陽宗紀コーチは、前日に県立城東が見せた粘り強い戦いぶりを評価し、「素晴らしいチームです」とリスペクトして対策を練ってきました。結果、追い付かれた後に突き放された県立城東は64-81で敗れ、初勝利はなりませんでした。
またも悔しい負けですが、橋本選手は落ち込むのではなく前を向いています。「頑張っている分だけ、以前より上手くなっていると感じます。そうやってチャレンジしていれば、次は勝てるかもしれない。やっぱり格上のチームに勝つことが一番成長を感じられるし、負けっぱなしで終わるのは嫌です。負けているけど、勝ちにこだわってチャレンジしていきます」
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