「U18日清食品ブロックリーグ2025への出場が決まった時、最初に浮かんだのは『自分たちで大丈夫かな』という不安でした。でも、せっかくのチャンスなので絶対にモノにしようというチャレンジの気持ちで挑もうと決めました。僕たちは新チームになって2年生が中心のチームです。失うものはないので、全員がどんどんチャレンジしてアグレッシブなバスケットをしていきたいです」
こう語るのは県立米子東(鳥取県)の新キャプテン、上野隼汰選手です。夏で3年生が全員引退し、新チームで挑んでいる県立米子東は5試合を終えて勝利はまだありませんが、毎試合で収穫と今後の伸びしろを得ています。
初戦となった県立宗像(福岡県)戦と続く県立広島皆実(広島県)戦は、68-82、37-107で敗れましたが、指揮を執る田中竜ヘッドコーチはこう振り返ります。「新チームになってサイズがないので、ディフェンスを頑張ってイージーチャンスを作っていくことをやってきました。県立宗像との試合ではやってきたことが出せたと思います。県立広島皆実戦ではインサイドを徹底的に攻められて、そこを守りにいったらアウトサイドから決められてしまい、その中でもトラップにいってチャンスを作ることができました。オフェンスではオープンを作れてもシュートが入らなかったので、今後は決定力を磨いていきたいです」
上野選手も得点だけに目を向けるのではなく、内容にフォーカスしてこう振り返ります。「僕たちはサイズがないのでリバウンドを徹底することを強く意識してきました。それが全国大会に出ているチームに対しても通用する部分があったので良い収穫になりました。でも、強度が高いとミスも増えるし、普段やっていないオフェンスの形になったりするので、そこを練習でも再現できるように日頃からもっと強度を上げていきたいと感じました」
県立広島皆実戦は最終的に70点差となり、心が折れても無理はないスコアになりましたが、県立米子東はどんなに点差が開いても一つひとつできることを増やして、最後の最後まであきらめることなく戦い抜きました。
最初は相手のプレスディフェンスに苦戦しボールを運べない場面もありましたが、試合が進むにつれて相手のディフェンスを引き剥がし、ボールが繋がるようになるなど、試合の中でも成長を見せていきます。
身長が10cm以上も高い相手ビッグマンにに対してダブルチームを仕掛け、トラベリングを誘ったディフェンスも決まりました。上野選手は「練習通り上手くローテーションができた結果、トラベリングになったのはうれしかったです。自分たちのプレーが強豪チーム相手にも通用したことは自信になります」と手応えを語ります。
県立米子東はチーム紹介に「鳥取県内の進学校として、文武両道を活動指針としています。勉学と部活動両面で地域を代表しリードする存在であることを目指しています」とあるように、鳥取県トップの進学校です。高校生にとって文武両道は当然のことですが、それを県内トップレベルで遂行するのは誰でもできることではありません。
上野選手は「勉強とバスケとメリハリをつけて短い時間でどっちも質を高くするのは体力もいるし、やりたいことを我慢する必要もあります」と大変さを語りつつも、それ以上のやりがいを語ります。「でも、勉強が良くなってくるとバスケも思い切ってできるし、バスケで調子が良いと勉強も頑張ろう! という気持ちになれるので、そこは両輪で頑張れています」
県立米子東は残り2試合です。チームを引っ張る上野選手が「声は絶対に出し続けますし、最後まで絶対にあきらめないところを注目してほしい」と力強く語ってくれたように、彼らは最後まであきらめずに戦うことで収穫を得て、この経験を今後の成長に生かしていきます。
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