『U18日清食品ブロックリーグ2025 グループB』に出場している埼玉栄(埼玉県)は、船橋市立船橋(千葉県)に71-42で勝利し、今大会3試合目で初白星を挙げました。
埼玉栄は試合開始時からすさまじい気迫をコートに充満させていました。対戦相手がスピードと運動量を強みとする船橋市立船橋ということもあって、第1クォーターこそ27-24と互角の展開となりましたが、第2クォーターに入ると相手を攻め立てるような激しいディフェンスで次々と相手のミスを誘い、このクォーターの失点をわずか2に抑え込みました。
木川はな乃選手、倉林まのか選手、近野莉琴選手の思い切りの良い3ポイントシュートが高確率で決まり、片子澤更紗選手はパワフルなインサイドプレーで得点。そして何より、セカンドメンバーを含めたチーム全員によるディフェンス、全員でリバウンドに飛び込む姿勢は、大差がついた第4クォーターも変わることなく、このクォーターも失点をわずか3に抑えました。
「出だしから自分たちのペースでできました」と、笑顔で試合を振り返ったゲームキャプテンの木川選手は、試合前に選手同士で「出だしからチャレンジャーの意識を持てば、最初から自分たちのペースでバスケットができる。そしてそのまま流れに乗って最後までやろう」と気持ちを一つにしたと教えてくれました。
試合中は先発メンバー最長身の173cmの上背を生かし、3ポイントシュートだけでなくリバウンドでも力を発揮。「誰か一人でも気持ちが落ちてしまったらチームでなくなってしまう」という思いで、絶えず仲間たちを励ます声掛けをしていた木川選手の声は、すっかり枯れていました。
埼玉栄は第1戦で八雲学園(東京都)、第2戦で日本航空(山梨県)と、2戦連続で留学生ビッグマンを擁するチームと対戦し、97点、96点と大量失点で敗れました。明確な留学生対策をあえて講じずにこの2試合に臨んだと明かす目由紀宏コーチは、留学生たちに総スコアの半分近い得点を取られたことよりも「やるべきことをやれなかった」ことに課題を感じたと話します。
ディフェンスのファンダメンタルをちゃんとやること。『誰か』でなく『5人』でリバウンドを取りに行く姿勢を貫くこと。選手たちはシンプルな「やるべきこと」をしっかりと遂行しました。目コーチは「試合前は『やるべきこそをやるように』としか伝えていませんが、それができたからこういうゲームになりました」と選手たちの頑張りを称えました。
埼玉栄は昌平(埼玉県)に次ぐ県2位チームとして「U18日清食品ブロックリーグ2025」に出場しています。今回出場した選手たちのほとんどは全国大会の大舞台を経験していません。目コーチは、かつての国内トッププレーヤーらしい観点も交えながら、チームにとっての新フォーマットの良さを語ります。
「いろんな場所に移動してバスケをやるというのがすごく良いです。全国の常連チームの選手は遠征や合宿であちこちに移動してもパフォーマンスが落ちないですよね。ウチの選手は県1位にもなったことがない選手がほとんどで、様々な面で経験が少ない。毎週末に遠方に移動をして戦う経験も、全国の舞台で戦っているチームの『勝つ』という強い気持ちを肌で感じる経験も、本当に良いものになると思います」
木川選手も「チームによってスクリーンの対応やディフェンスが変わってくると思うので、そこでの対応を学びたい」と話し、大会を通して自身が目指したい姿を次のように思い浮かべています。「自分が下を向いたらチームの流れが悪くなってしまうと思うので、どんなに流れが悪くなった時もプレーと言葉で引っ張っていけるようになりたいです」
1人が1人を守るのでなく、全員が1.2人分のディフェンスをして6人分の力を発揮する。それが埼玉栄の目指すチームのあり方です。華やかな実績や恵まれた体格がなくとも、大切なことを貫き通し、全員が力を合わせて戦い続けることでどんどん強くなれる。埼玉栄はこのリーグ戦を通して、そんなことを証明しようとしています。
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