「U18日清食品ブロックリーグ グループC」を戦う龍谷富山(富山県)は、9月20日に自分たちの体育館でリーグ開幕戦を迎えました。2年連続2度目の出場とあって周囲の認知度も上がっているようで、佐藤肇コーチも「かなり注目されています」とうれしそうです。地元テレビ局が取材に訪れ、バスケ部以外の生徒、卒業生や保護者も多数応援に駆けつけました。
龍谷富山が目指しているのは、スピーディな展開から多くの得点をモノにするハイペースなバスケです。20日の高崎商業(群馬県)戦を90-84という理想的なスコアで制した翌日には、今夏のインターハイでベスト8に入った強豪、昌平(埼玉県)と対戦。サイズで勝る相手に対し、ガードの赤坂菜緒選手、ウイングの新崎馨選手、竹部美咲選手、伊藤想乃香選手らの高さを生かしながら磨いてきた早い展開に持ち込もうとしましたが、試合巧者の昌平にタフに守られ、53-82で敗れました。
試合は序盤から点差を離される展開になりましたが、チームは前を向いていました。「昌平さんのような力のあるチームと対戦する機会はなかなかありません。相手が何をやってきて、そこにどう対応するかを考え続け、練習してきたことをやりきろうと。点数云々ではなく今チャレンジしていることを出そうと話していました」と佐藤コーチは語ります。
キャプテンの新崎選手は、インターハイ後から本腰を入れて取り組んでいる「選手間での密なコミュニケーション」にも一定の手応えを感じたと振り返りました。「上手くいっていること、上手くいっていないことをそれぞれ挙げて、良ければ継続し、悪ければどうすべきかかをみんなで話し合います。クォーター間の休憩でもタイムアウトでも、ベンチに戻った瞬間からすぐに話し合う。時間いっぱいまで話せるだけ話したいですし、今日は昨日よりもできていたと思います」
龍谷富山は、1月の県新人戦から県内無敗のままインターハイに臨みましたが、浜松開誠館(静岡県)戦で最後にひっくり返される逆転負けで初戦敗退。「残り2分からの相手の圧がすごくて、そこに負けてしまいました」と振り返る新崎選手は、「大事な局面で何をするかとか、誰が攻めるかとか、そういうことを前もって決めておかないと試合で上手くいきません。今は試合経験を積んでいきながらそれを決めていこうとしている最中です」と語ります。
そういう意味でも「選手間での密なコミュニケーション」は大切になります。県内でなかなか競った試合が経験ができない龍谷富山にとって、北信越だけでなく他ブロックの強豪とも戦えるリーグ戦の機会を生かし、コミュニケーションを高めていく狙いです。
シックスマンとしてコートに立ち、スピードや粘り強いディフェンスでチームの流れを変える黒田紗矢選手は、コートの外から試合の状況を把握し、交代した時にそれを伝える役割も担っています。彼女の働きを新崎選手は、「コートの内にいては分からないことを、入ってきた時にみんな集めて言ってくれて、すごく助かっています」と笑顔で教えてくれました。
新崎選手は「フィジカルやスピード、上手くいかないときの対応策など、他県のチームから学ぶことはたくさんあります。このリーグ戦からたくさんのものを学ばなければいけません」と力を込め、黒田選手も「練習でやってきたことを100パーセントぶつけて、できることとできないことを知って、できないことを持ち帰ってまた練習するために頑張っています」と続けました。
サイズに恵まれ、主力が全員3年生であることに基づいた経験と結束力を備えている今年の龍谷富山。始まったばかりのリーグ戦でお互いに声を掛け合い、知恵を絞り合いながら全身全力で戦い抜いた先には、きっと大きく成長した自分たちが待っているはずです。
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