「U18日清食品ブロックリーグ」に初年度の2022年から4年連続で出場している明徳義塾(高知県)は昨年の「U18日清食品 四国ブロックリーグ2024」で7戦全勝での優勝を勝ち取りました。大会フォーマットが変更された今年は、関西や東海の強豪校がひしめくグループEに入り、2年連続のU18日清食品ブロックリーグ制覇を目指します。
足達瑶咲アシスタントコーチは、「普段は試合のできない関西や東海の強豪を相手に、一戦一戦をしっかりと戦い、チームと個人の成長に繋げていければ」と語り、「オフェンス面では特定の選手に頼るのではなく、一人ひとりの得点力アップと攻撃のバリエーションを増やしていきたい」とチーム強化のプランを説明します。
9月の4試合を終えて3勝1敗。洛南(京都府)に黒星をつけられたものの、奈良育英(奈良県)戦を87-82、育英(兵庫県)戦を91-75と勝ちきり、優勝が狙える好位置をキープして10月12日の近畿大学附属(大阪府)戦を迎えました。
前半は互いに積極的なオフェンスからアップテンポなゲームを展開。明徳義塾はエース格の藤本翼選手や山田仁大選手らがゲームを組み立てつつ、留学生のオチェ アンソニー デイビッド選手の高さを生かした攻撃から得点を重ねます。加えて、足達アシスタントコーチが掲げる「得点の分散と攻撃バリエーションの増加」という狙いもコートで体現します。インサイドだけでなく、キックアウトからの3ポイントシュート、ドライブからのレイアップなど様々な形から得点を重ねました。
39-33とリードして迎えた後半も多くのベンチメンバーをコートに送り出しながら、インサイドとアウトサイドを効果的に使い分けるオフェンスが機能し、最終スコア80-65で4勝目をつかみ取りました。
この試合で目を引く活躍を見せたのが3年生の山田選手です。「プレーにムラがある」と自覚する通り、チーム内で絶対的な地位を築いているわけではありませんが、この日はスターターに名を連ねてチームを牽引しました。
相手ディフェンスを見てミスマッチを突くアシストで攻めのリズムを作り出し、緩急を付けたドライブで自らの得点も伸ばしました。このパフォーマンスに本人も手応えをつかんでおり、「僕はペネトレイトで相手を崩していくのが得意なのですが、今日はその持ち味を上手く出せました」と笑顔で語りました。
山田選手は、自分の武器である独特なリズムを刻むドリブルやステップワークについて「小さい頃から父親との練習の中で磨いてきたもの」と言います。「父がもともとバスケをやっていて、その影響で僕も小学1年生からバスケを始めました。ドリブルの細かいスキルは父から教えてもらいつつ、小さい頃からいろいろな人と1対1をして少しずつ自分のモノにしてきました」
山田選手が小学生だった頃、高知県には小学生や中学生を対象としたクラブチームが存在しませんでした。そのため、山田選手が中学生に上がる2020年4月に父の龍成さんが一念発起してクラブチームを創設。高知クレイジーダイヤモンドというチームを作り、自らがヘッドコーチを務め、父と息子の二人三脚で成長してきました。
山田選手が中学3年生のときには2年連続でJr.ウインターカップに出場。1回戦の鹿児島レブナイズU15戦で山田選手は24得点を挙げる活躍を見せましたが54-61で敗れ、「今でも忘れられないくらい悔しい思いをした」と当時を振り返ります。
その挫折を糧にして、明徳義塾に進んでからも努力をコツコツと積み上げてきた山田選手。父親のもとを離れてからも、「自分のプレーができていない時は父に喝を入れてもらっている」とのことです。
近畿大学附属戦の翌日には優勝を争う中部大学第一(愛知県)と対戦。53-102の大敗を喫し、目の前で相手に優勝を決められました。それでも、山田選手の目標がブレることはありません。「大学でもバスケを続けますし、自分の良いプレーを試合でもっと出せるように練習から頑張っていきたいです」。自分の活躍によって全国の舞台でチームを勝たせるという、中学時代に果たせなかった目標を成し遂げるためにも、山田選手はこれからも真摯にバスケットボールに向き合っていきます。
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