今夏、群馬県を制して15年ぶりのインターハイ出場を果たした県立高崎商業(群馬県)は、同時に初めての「U18日清食品ブロックリーグ2025」出場権を手に入れました。グループCは北信越ブロック所属の5チーム、東海ブロック所属の1チーム、関東ブロック所属の2チームで構成されています。例年、関東外に遠征することは滅多にないという高崎商業ですが、このリーグ戦で3度の北信越遠征を経験することになりました。
長竹潤コーチは「ウチは公立高校ですし、親御さんの負担もあるので、遠征は関東ブロック内で年に1回か2回です。関東を飛び越えて強豪チームの胸を借りられるこの大会に出場できるのはすごくありがたいことです」と語ります。
龍谷富山(富山県)で行われた第3戦の相手は星城(愛知県)でした。レベルの高い愛知県で、インターハイ優勝の桜花学園(愛知県)に続く準優勝に輝いたチームで、昨年の「U18日清食品 東海ブロックリーグ2024」では優勝しています。
その強豪を相手に県立高崎商業は和田百々那選手、久保田希望選手が開始早々から連続3ポイントシュートを沈め、土屋咲葵選手、北爪萠友選手も人とボールがよく動く連携のとれたオフェンスから気持ち良く得点を重ねてリードを奪いました。しかし、星城は第1クォーター中盤からオールコートディフェンスを展開すると、徐々に流れが変わっていきます。
県立高崎商業はこの日、ガードの久保田選手と塚越葵選手がケガのためコンディションが良くありませんでした。長竹コーチは2人の負担を減らすために、いつもはウイングでプレーする和田選手にボール運びを託します。和田選手は170cmのサイズと優れたドライブでの突破力を生かして星城のディフェンスを分断し、フロントコートにボールを運びます。
中学時代まではガードでプレーしていたものの、ハイレベルな試合で2年ぶりにこのポジションを担うことになった和田選手は、「大変でした」と率直に感想を語りました。和田選手の実力を認めた星城がさらにディフェンスのプレッシャーを強めてきたことに対し「どうしていいか分からなくなりました」と強引にそれを突破しようとする時間帯もありました。
それでも長竹コーチの指示を受けながら、仲間のスクリーンを使う、リターンパスを活用する、大きくパスを飛ばすなど多彩なプレーを駆使し、それをいなそうとする冷静な対応力が光りました。
この日はセンターの土屋選手も故障を抱えた状態でプレーしていました。キャプテンで大黒柱の戸澗ちひろ選手が長期離脱している中でさらに苦しい状況となりましたが、和田選手は「私がやるしかない」と覚悟を決めてこの試合に入りました。
結果的には71-90で敗れましたが、普段出場機会の少ない選手たちもコートに立ち、和田選手も「まずは落ち着いてボールを保持する」という新たな成長の材料を手に入れています。長竹コーチも「大変だったと思いますが、このレベルでいろいろな経験ができたことは今後に繋がっていきます」と選手たちの奮闘を称えました。
和田選手の武器は、チーム練習後にも近隣の体育館で父と打ち込んできたジャンプシュートです。これまで以上に様々な役割を担いながらプレーしているU18日清食品ブロックリーグを通して、長竹コーチから「1試合40得点」と目標設定されている得点力を軸としながらも「アシストなどチームを助ける仕事を増やしていきたい」と話し、大会の抱負についても教えてくれました。
「それぞれのチームに特徴があって、試合をやるたびにどんどん自分たちの課題が分かってきます。その課題を持ち帰って練習して、さらにさらにレベルアップしていきたいです」
ここまで6戦全敗ですが、最終戦となる11月22日の開志国際(新潟県)戦は、このリーグ戦で唯一となる県立高崎商業でのホームゲームとなります。慣れ親しんだ体育館で、保護者や同級生の声援の後押しを受けながら、県立高崎商業がどのような成長した姿を見せてくれるのか楽しみです。
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