10月13日に行われた「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループC」の東海大学付属諏訪(長野県)と福井工業大学附属福井(福井県)の一戦は、福井工業大学附属福井が94-81で勝利しました。
序盤は東海大学付属諏訪が先行しましたが、第2クォーターからディフェンスの強度を上げた福井工業大学附属福井が流れをつかみます。そのきっかけを作ったのは、ベンチから登場した姫路莉緒選手でした。
福井工業大学附属福井を率いる林慎一郎コーチは、「彼女には力がある」と太鼓判を押し、これまでスタメンで起用していた姫路選手をベンチスタートに変えた理由をこう説明します。
「交代のメンバーを起用するのは、試合状況に合わせて自分たちの流れを作り出すためです。悪い流れであれば断ち切り、良い流れであればそれをより加速させていく。そのためにはスタートの5人よりも力が落ちるようではいけません。6番目、7番目の選手に安定感のある選手がいることで、チームはより強固になっていきます」
林コーチは、県立足羽(福井県)を全国の強豪に育て上げ、アンダーカテゴリーの日本代表のヘッドコーチを務めた実績を持ちます。当時から6番目、7番目の選手の見極めを大事にしていたそうです。姫路選手もその役割の重要性と、どんなプレーをすればチームに貢献できるかをしっかりと理解しています。
「今日はベンチから見ていて、ディフェンスの強度が低く、オフェンスもリングに向かってアタックができていませんでした。自分がコートに入ったら、チームに足りないプレーをしっかりと表現しようと考えていました」と話す通り、姫路選手は相手のガードにプレッシャーをかけ、オフェンスではボールをもらったタイミングで積極的にゴールにアタックし、一気に試合の流れを福井工業大学附属福井へと引き寄せました。
林コーチも、「彼女にはフィジカルの強さとゴールにアタックできる魅力があります。北信越だと大学生相手でも平気でプレーできます。あとはシュート力が伸びれば、素晴らしい選手になれます」と期待を寄せます。
姫路選手も「アウトサイドシュートをもっと伸ばしていけば、ゴールへのアタックもしやすくなります。チームを見ても、明確なシューターが少ない中で、自分がその役割を担っていけるように成長していきたいと思っています」と、自身の課題がシュート力であることをしっかりと認識しています。
成長に意欲を持つだけでなく、今後の自分にどんな伸びしろがあるのか、姫路選手は林コーチと認識を合わせることで良いステップが踏めています。北海道出身の姫路選手が、福井工業大学附属福井に進学を決めた理由も林コーチの存在が大きかったと言います。「中学校3年の時に桜花学園(愛知県)で行われた大会に出場した試合を林コーチが見ていて、中学校まで会いに来てくれました。それがうれしかったのと、話を聞いていくうちに『林コーチからバスケを学びたい』と思いました」
姫路選手のバスケIQの高さ、フィジカルの強さはこの試合で輝きを放ちました。しかし、それ以上に魅力的だったのは、まだまだ多くの伸び代を感じさせてくれるプレーと向上心の高さです。それでも今のチームは1、2年生のみのメンバー編成で、まだ足りない部分も多くあります。
林コーチはこう語ります。「U18日清食品ブロックリーグは、全国の強豪校と試合ができる素晴らしい機会です。その中で、まだそんなチームと戦うだけのファンダメンタルが足りません。あとは相手の特徴をしっかりと理解して、アジャストする力も伸ばさなくてはいけません。どちらも自分たちのバスケをやるために必要な力だと考えている中で、選手たちはこの大会を通して必要なことを理解してきていると思います」
より高みを目指す林コーチ、そのキーパーソンとなる姫路選手。福井工業大学附属福井はこれからさらなる進化を遂げていきます。
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