『県岐商』こと県立岐阜商業は、「U18日清食品ブロックリーグ2025」に大会初年度から4年連続の出場となります。10月12日に行われた安城学園(愛知県)戦では83-73で競り勝ち、大会2勝目を挙げました。
県立岐阜商業の持ち味は『激しいディフェンスからの堅守速攻』です。普段は早い段階でオールコートディフェンスを仕掛けますが、この安城学園戦では、前半はオールコートディフェンスを封印しました。それでもハーフコートでしっかりと守り、ディフェンスリバウンドからのトランジションに持ち込んでリードを奪います。
後半はお互いにアップテンポな攻めを展開し、3ポイントシュートの打ち合いになりますが、ここで県立岐阜商業はオールコートディフェンスを解禁。自分たちのスタイルである『ディフェンスからのバスケット』で主導権を取り戻し、最終スコア83-73で勝利しました。
田中良夫コーチは試合をこう振り返ります。「今日はディフェンスで前から仕掛けずに引いていたら、途中で3ポイントシュート合戦になってしまいました。オフェンスのやり合いは本来の自分たちの流れではありませんが、後半でオールコートのマンツーマンを仕掛けて自分たちの流れにできました」
キャプテンの伊藤由夏選手も「自分たちは厳しいディフェンスからの堅守速攻を目指していて、後半はそこが上手くいったので良かったです」と話し、こう続けます。「ウチは毎試合でいろんな選手が活躍できるのが強みです。上手くいかない子がいても他の子が活躍することでチャンスが巡ってくるし『チャレンジしよう!』という気持ちが生まれて、みんな頑張っています」
冒頭でも触れたように、県立岐阜商業の本大会への出場は今年で4回目です。このリーグ戦を初年度から見てきた田中ヘッドコーチは「最初はBチームを出すチームが結構ありました。それが今となっては多くの学校がAチームを出しています」と語り、大会の価値観の変化をこう感じると言います。
「今日もいろいろな選手を起用しました。スタートではない選手たちが、公式戦でしか味わえない緊張感を経験できるのは貴重な体験です。大会が始まった頃はベンチの選手を呼ぶと、みんな顔を真っ青にしてコートに出て行っていましたが、徐々に慣れてきて今ではそれがありません。間違いなく、この大会の価値観は変わってきています」
キャプテンの伊藤選手は2年生だった去年も「U18日清食品 東海ブロックリーグ2024」に出場していますが、地区を飛び越えたリーグ戦となった今年の大会ならではの手応えをこう語ります。「今回は初めて対戦するチームがいて、それぞれのチームに適応したオフェンスを自分たちで考えて組み立てる機会がありました。今まではそういう経験があまりなかったので、この大会を通してチームとして成長できました」
3年生にとって高校でバスケができる時間は残りわずかです。田中ヘッドコーチは「ここでのバスケットはあと数カ月ですが、最後まで1日も無駄にしないで過ごしてほしいです」と話し、伊藤選手への期待を語ります。
「彼女のリーダーシップを後輩に繋いでほしい。それが県岐商の伝統だと思っています。3年生は進学の準備もありますが、途中で引退する選手もいません。みんな最後までしっかりやってくれるので本当に感謝していますし、それこそが県岐商だと思っています」
対する伊藤選手も「キャプテンとして最後までやり切って、しっかり後輩に繋いでいけるようにしたいです。プレー面では強みの視野の広さと周りを生かすプレー、一線のディフェンス力でチームに貢献して、一つひとつ勝っていきたいです」と後輩たちにバトンを渡すその日まで駆け抜けます。
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