県立富山商業(富山県)は10月12日に金沢市立工業(石川県)と対戦しました。3年生の新木敬大選手がゲームを作り、同じく3年生の松田禅生選手が果敢にリングにアタックすることで前半は一進一退の攻防を繰り広げますが、後半に入って金沢市立工業の外のシュートが当たり始めると押し返すことができず、第3クォーターを10-26のビッグクォーターとされてしまいます。
劣勢に立たされた県立富山商業は前半のような粘りを見せられず、第4クォーターも突き放されて、最終スコア57-94で敗れました。これで「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループC」の全日程を終え、0勝7敗という結果に終わりました。
県立富山商業は、ここ数年で県1位の高岡第一(富山県)を破って11年ぶりのインターハイ出場を果たすとともに、「U18日清食品ブロックリーグ2025」にも初出場となりました。結果は厳しいものでしたが、新木選手と松田選手は「特別な経験を得られた」と、この大会の収穫を語ります。
新木選手は大会を通しての成長をこう語ります。「相手は僕らよりもはるかに強いチームばかりの中で、ボールが止まってしまうと打開が難しいと分かり、大会の後半にはボールを止めずに自分たちのスピードを生かす意識を持てるようになりました。少しずつではあっても、チームとして成長できたと思います」
そんな成長への姿勢を、荒川和樹コーチはこう称えます。「正直、最初の4試合は何も通用しませんでした。パッシングゲームでチームでズレを作ることが我々のバスケですが、そもそもそれが通用しない。その中で少しずつやり方を変えていった結果、オフボールからのオフェンスで良い形が作れるようになりました。本当に選手たちは頑張ってくれました」
点差が離れても富山商業の選手たちは下を向きません。特に松田選手は、金沢市立工業に点差を離される苦しい試合展開でも、「集中しよう、まだ終わってない!」と大きな声でチームメートを鼓舞し続けました。
荒川コーチはこう続けます。「我々はこれまで大敗をあまり経験しませんでしたが、それはそういった試合を組まなかったからです。レベルの高いチームを相手に大敗が続く中でも、3年生は逃げずに前を向いて戦い続けました。この大会に出場したことで、選手たちは人間性という部分で大きく成長できたと思いますし、2年生はその姿勢を見習ってほしいです」
富山県内でそれなりに戦えることで満足していたわけではありませんが、「U18日清食品ブロックリーグ2025」で強豪チームとの対戦を重ねたことで、見せる景色が変わりました。松田選手は「富山でしか通用しないバスケをするのではなく、全国で通用するようにと意識が変わました」と語り、新木選手も「この経験を富山に持ち帰って頑張りたい」と続けます。
この意識の変化は、今後の県立富山商業にとって大きな成長のきっかけになるはずです。負け続けた中でも得られた確かな手応えは、間違いなく彼らを大人にしました。
荒川コーチも、「この経験を富山県に持ち帰って、自分たちのプレーで富山の選手たちに伝えてほしい。『全国はこういう感じだった』というのをバスケで体現してほしいですね」と笑顔で語りました。リーグ戦で得た経験を3年生が体現し、それを下級生が受け継いでいく。それはチームのカルチャーとなり、地元への発信を続けることで富山県のバスケそのもののレベルを引き上げるはずです。
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