「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループD」に出場している四日市メリノール学院(三重県)の女子バスケ部は、10月13日に行われた盛岡白百合学園(岩手県)戦に98-60と快勝して6連勝を飾りました。
稲垣愛コーチが「チームとしての成長を感じた」と称賛したのが、後半立ち上がりの4分間です。前半を52-36と16点のリードで終えましたが、「前半はふわっと入ってしまった」と稲垣コーチはハーフタイムに選手たちへ奮起を促しました。
これに応えたのが2年生エース、刀根綺萌選手でした。ポストアップからのフェイダウェイで後半最初の得点を奪うと、続くオフェンスでは得意のドライブからダブルクラッチでフィニッシュ。開始3分半にはディフェンスリバウンドを受け取ると、自らボールプッシュしてシュートを決め、8連続得点を挙げました。刀根選手が作り出した出だしのビッグランによって、第3クォーターは26-6と圧倒しました。
「刀根が交代で戻って来た時に、『チームが苦しい時に決める、これがエースだよ』と伝えました。(後半の最初のプレーで)刀根のポストアップを選択したポイントガードの中嶋とわも、こちらの意図をよく理解しているなと感じましたし、それを決め切った刀根も素晴らしかった。チームとしての成長を感じたワンプレーでした」
四日市メリノール学院は、澁谷虹歩選手、伊藤千寛選手、中嶋選手など、チームの約半数が「全国中学校バスケットボール大会」の優勝を経験している内部進学生です。一方で刀根選手は、外部の中学から入部しました。稲垣コーチ曰く「刀根に限らず、外部から来てくれる選手が、バスケだけではなく日常生活を含めたいろいろな面でチームに新しいパワーをもたらしてくれています」と、全国経験のある内部生と新たな力を融合しながらチームを作り上げています。
その中でも、刀根選手は1年生からローテーションの一角を務め、エースになることを期待されてきました。稲垣コーチが「1対1で仕掛けてフィニッシュに持っていくところは非常に面白いものがあります。私自身も『次、何やるの?』と彼女のバスケを見ていて楽しいと感じています」と評する刀根選手のオフェンス力は、小、中学校時代に磨き上げられました。
小学校1年生でバスケットボールに出会った刀根選手は、小学校時代は男女一緒に練習するクラブチームでプレーしてきました。「小さい頃から好きな富樫勇樹選手の動画を見て真似をしたり、小学校のチームの男子キャプテンがめっちゃ上手かったので、見て、真似て、分からないところを教えてもらっていました。ダブルクラッチもずっとやっていたので、あの場面でも感覚でやりました」
中学校は女子バスケ部がなかったので、男子に混じって練習。並行してクラブチームに所属し、四日市メリノール学院ともよく練習試合で対戦していたそう。「中学の頃はディフェンスの練習はほぼしていなくて、自分が点を取ることだけを考えていました」と刀根選手は苦笑いします。
内部生が中学で3年間積み上げてきたバスケに追いつくことは簡単なことではありません。サイズがなくてもスピードとプレーの強度で勝負する四日市メリノール学院のディフェンスを遂行することに、刀根選手はいまも苦戦していると言います。
「ディフェンスで前から当たれる選手になりなさいと愛コーチに言われています。今日も入りでファウルをしてしまったり、リバウンドで飛び込まれてしまったりしてチームのリズムが悪くなってしまいました。大事なところでしっかりとボックスアウトしてリバウンド取れるようになっていきたいです」
ディフェンスについて聞くと、反省ばかりが口をついて出てきますが、それは周りからの期待を十分に感じているからこそ。なにより、自分が目指す理想形が高いからでもあります。
「自分のことだけでなく、周りのことも考えられる選手、期待に応えられる選手になりたい」。そう語る刀根選手は、試合を重ねるごとにエースの自覚を強くしています。
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