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U18日清食品リーグ

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「徐々に自分の役割がはっきりとしてきた」“仕事人”の系譜を受け継ぐ
東山#10 鈴木勇功

早水公園体育文化センター(宮崎県都城市)を舞台に初開催された「U18日清食品トップリーグ2025」の第7週。初日の11月8日(土)を締めくくる第4試合は、東山(京都府)vs.福岡大学附属大濠(福岡県)のカードとなりました。

全国屈指の強豪同士の対決とあって、会場は立ち見が出るほどの熱気に包まれました。これまでの戦績を見ても、福岡大学附属大濠が5勝0敗、東山が3勝1敗といずれも好調を維持しており、試合への期待が高まります。

福岡大学附属大濠は、片峯聡太コーチの「チームを一度外から見つめ直してほしい」との意向から、ロスターを全員1、2年生の下級生で構成して今試合に臨みました。一方、先に流れをつかんだのは東山。試合前に「相手どうこうではなく、自分たちのバスケをしよう」と仲間へ声をかけていた#5佐藤凪選手(3年/176cm)が攻撃を引っ張り、第1クォーターを終えて16-13でリードします。第2クォーターに入ると、#23白谷柱誠ジャック選手(1年/194cm)のバスケットカウントなどで開始2分に逆転を許しますが、東山も白谷選手の中学時代の先輩である#8中村颯斗選手(2年/178cm)がすぐさま決め返すなど意地を見せ、競り合いが続きました。

試合が大きく動いたのは第2クォーター終盤。東山は#9ウェトゥ ブワシャエノック選手(2年/203cm)のブロックショットから鈴木勇功選手(2年/186cm)が速攻でフリースローを獲得し、続けて鈴木選手のオフェンスリバウンドから#14佐藤久遠選手(1年/180cm)が3ポイントシュートを沈めて一気に9点差まで広げます。その後、福岡大学附属大濠の本田蕗以選手(2年/190cm)に速攻を許すも、7点リード(36-29)で前半を終えました。

後半に入ると、東山は佐藤凪選手や中村選手の得点でリードを2桁に広げ、主導権を握り続けます。途中、本田選手の3ポイントシュートなどで一時は一桁差に詰め寄られますが、中村選手が立て続けに得点し再び突き放しました。中村選手は第4クォーターだけで16点の爆発。最終的に、東山が88-72で勝利を収めました。

ここまで全勝をキープしていた福岡大学附属大濠を破った東山は、中村選手がチーム最多の33得点、佐藤凪選手とエノック選手がともに16得点を挙げるなど、持ち前のオフェンス力を存分に発揮しました。

その中で、実は大澤徹也コーチから「彼が一番安定していたかもしれない」と高く評価されたのが、2年生の鈴木選手です。「スタッツに表れない部分を一番やってくれています」と指揮官が目を細めるように、その存在感は10得点、11リバウンドという数字以上のもの。この日はほぼフル出場となる39分以上コートに立ち続けましたが、体を張ったディフェンスから全力で速攻に飛び出し、リバウンドにも果敢に絡んでいきました。当の鈴木選手本人も、「(白谷柱誠)ジャック選手が不調だっただけであまり自分が抑えたという感覚はないですが、ディフェンスを頑張って、走って、リバウンドに飛び込むという自分の役割はある程度、果たせたと思います」と手応えを語ります。

長崎県出身の鈴木選手は、中学時代の恩師がかつて米須玲音選手(東山高→日本大→川崎ブレイブサンダース)を指導していたことから、東山へ強い憧れを持って入学。しかし、名門ゆえのレベルの高さに最初は戸惑いもあったといいます。

「中学時代は、僕と然(現・開志国際高のホーキンス然選手)が中心となって得点してチームを引っ張っていました。でも東山では、全国各地から凄いスコアラーが集まっています。自分が求められる役割は得点よりもリバウンドや走ることなど、目立たない部分が中心だと感じました」

こうした役割の変化に、初めからすんなりと順応できたわけではありません。しかし、インターハイ前の近畿大会で同級生の新井伸之助選手(2年/188cm)がケガで離脱し、急遽代わりにスタメンとして起用されることに。「新井と自分とではタイプが違う。同じことをしようとするのではなく、自分がいかにチームのオフェンスに合わせていくかを考えていました。その中で、徐々に自分の役割がはっきりしてきたんです」と振り返ります。参考にしているのは、東山OBで現・東海大の佐藤友選手。目立たない仕事も怠らず取り組む、“仕事人”タイプの4番ポジションを目指し、伝統を引き継ごうとしています。

インターハイ、さらにU18日清食品トップリーグでの経験を経て日に日に安定感が増している鈴木選手。大澤コーチも「夏から一番成長した選手」と太鼓判を押し、「彼は本来、相手との駆け引きもうまい選手です。数字に残らない部分を今後も続けて、彼らしさもさらに発揮できれば、より大きな存在になれる」と期待を寄せています。華やかなスコアラーぞろいの東山ですが、陰でチームに貢献し続ける鈴木選手にも、ぜひ注目してみてください。

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