日本航空(山梨県)は「U18日清食品ブロックリーグ グループB」を4勝3敗で終えました。最終戦となった11月9日の船橋市立船橋(千葉県)戦は、第1クォーターに2桁リードを奪うも、第2クォーターには得点が止まって追い上げられる展開に。それでも第3クォーター、185cmのアジェウォレ メルシー選手の高さを生かしたプレーで得点が動きだすと、那須寧選手や長田一花選手の3ポイントシュート、川上華凜選手の速攻など多彩なオフェンスで船橋市立船橋を突き放します。
日本航空はこの試合を最終スコア87-64で制し、約1カ月半に及ぶリーグ戦を見事白星で締めくくりました。ケガでプレーできず、キャプテンでありながらマネージャーとしてベンチに入った末木わか選手は「自分たちの強みであるインサイドを起点にしながら、中から外、外から中という連携が取れました」と勝因を語りました。
仲間たちや蒲生壮扶コーチと絶えずコミュニケーションを取りながら、ポイントガードとして試合をコントロールした佐藤瑠花選手も「相手のスピードや1対1への対応が遅れたのは反省点ですが、点の取り方は良かったと思います」と試合を総括します。
今シーズンは日本航空にとって激動の1年でした。下級生時から主力を務め、2月の関東新人戦の準優勝に貢献した末木選手が、4月に膝に大ケガを負い、復帰を目指していた9月に再度同じケガを負ったのです。
佐藤選手は「不安が大きかったです」と、この時のチームの雰囲気を証言します。「ですが、自分たちより末木選手の方が辛いのは分かっていたので、自分たちが落ち込まずに頑張らないといけない、という意識を持ってやっていました」
末木選手も胸の内を明かしてくれました。「2回目のケガをした直後は、みんなの顔も見たくなかったし、練習にも行きたくなかったです。でも佐藤選手がコートに立っていない自分にプレーのことを相談してくれて、それが自分の中で救いになっていました。『プレーできない自分には関係ない』と思ってしまうこともありましたが、コートの中にいては気付けないことを伝えられるように、できる限りの声を出しています」
得点源である末木選手の離脱を受け、チームは「アジェウォレ選手以外の選手が積極的に点を取りに行く」という目標を持って「U18日清食品ブロックリーグ2025」に臨みました。初戦の札幌山の手(北海道)戦ではそのオフェンスが機能しませんでしたが、続く埼玉栄(埼玉県)戦では改善が見られました。八雲学園(東京都)戦では、関東新人決勝では大差で敗れた相手に77-78と食らい付いています。
リーグ戦を通したチームの成長を、佐藤選手はこう語ります。「今までは3番、4番ポジションの選手が、ローポストのアジェウォレ選手に合わせることが多かったですが、今はアジェウォレ選手にディフェンスが集まったところでパスを受ける意識を持てるようになりました」
試合後にアジェウォレ選手に丁寧にアドバイスを送っていた末木選手は、コートに立てなくても日々リーダーシップを発揮しています。「自分たちの強みを出せる試合と出せない試合の違いは何なのか。それを試合に出ている選手だけでなくチーム全体で共有して、誰がいつコートに立っても同じプレーができるようにしたいです」と、彼女は自分にできる役割を全うする強い気持ちを持っています。
苦しい気持ちを整理し、自分にしかできないことに力を注ぐ末木選手。これに対してチームも、大黒柱の負傷離脱というアクシデントを乗り越えて成長しています。日本航空はこのリーグ戦を通して、とても貴重な経験を得ています。
この記事をシェアする