「U18日清食品ブロックリーグ2025」初出場の船橋市立船橋(千葉県)は、11月22日の日本航空(山梨県)戦から2年生主体のメンバー構成で挑んでいます。その中でプレーを続ける3年生が鎌上珠里選手です。
鎌上選手は新チーム以前は主力ではなく、集大成となるはずだったウインターカップ千葉県予選でもコートに立てませんでした。その悔しさに加えて「大学でもバスケを続けるので、全国のチームとの試合を経験したい」という思いで、「U18日清食品ブロックリーグ2025」を最後まで戦うことを選択しました。
井上知徳コーチは鎌上選手について、これまでは縁の下の力持ちで、リーダーシップを強く発揮するタイプではなかったと話します。しかし、「大学に入ってまた下級生に戻る前に、リーダーシップを発揮することを学んでほしい」という思いで、キャプテンナンバーのユニフォームを与えました。
鎌上選手は「遠慮しすぎると自分のプレーが出せないし、チームも良い方向に行かないので、自信を持ってプレーすることの大切さを伝えています」と話します。その言葉通り、試合中も試合経験の少ない後輩たちを引っ張りました。得意なプレーはリバウンド。インサイドの選手としては大きくない167cmという身長で日本航空の185cmのアジェウォレ メルシー選手とも競り合ってリバウンドを奪い、チームに勢いを与えました。
17-27とリードされて迎えた第2クォーターは、粘り強く多彩なディフェンスを駆使して相手を抑え、18-13とクォーター間のスコアで上回ることにも成功しています。最終スコア64-87で敗れましたが、鎌上選手は「あきらめたら相手にも失礼だし、最後まで自分のできる限りのことを全部やりかった」と、先頭に立って戦い続け、「3年生が残っているチーム相手にも前半は通用したと感じるところが結構ありました」と試合を振り返りました。
井上コーチは新チームの初陣となったこの試合で、選手たちに「ハングリー」というテーマを与えました。「千葉経済大学附属(千葉県)、昭和学院(千葉県)という全国上位レベルのチームに様子見で試合に入ったら絶対に勝てません。強い相手に勝ちたいと思えるか、果敢に戦えるか、ということを伝えてきました」
若いチームは井上コーチの言葉を胸に、日本航空に臆することなく真っ向勝負を仕掛けました。フロアにこぼれたボールに我先にと飛びつき、相手ビッグマンを全身を使ってゴール近辺から追いやり、前述の通り第2クォーターには大きく巻き返す時間帯も作りました。
井上コーチは「練習では見たことのない『こんなこともできるんだ』というプレーもたくさん出ていましたし、試合の中で選手たちが上手くなっていったような感じです」と頬をほころばせます。
11月22日の八雲学園(東京都)戦、そして最終戦となる札幌山の手(北海道)戦で目指すのは、試合のあちこちに散らばった「良いプレー」を連続させて「流れ」を作ることです。全国大会でも上位に入る強豪校を相手にそれを体現することは決して簡単なことではありませんが、船橋市立船橋はチームスローガンのとおり『心を籠めて』、全力でこの2試合を戦います。
この2試合に向けて、鎌上選手はこう意気込みます。「新チームは、自分で行く力と1対1になった時のディフェンス力が高いので、そこを強化していけば全国のチームとも戦えます。自分自身は強みとしているリバウンドが全国レベルの大きい選手やフィジカルの強い選手に通用するよう、工夫してやっていきたいです」
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