11月29日、「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループD」の最終戦が行われ、全勝でグループ首位を走る藤枝明誠(静岡県)が四日市メリノール学院(三重県)に91-62で勝利。7戦全勝で「U18日清食品トップリーグ2026入替戦」への出場権を手にしました。
藤枝明誠はこのリーグ戦を「3年生の発言力、引っ張る力を高めること」をテーマに戦ってきました。チームキャプテンの戸田湧大選手は、「コート内でもベンチでも、毎試合で3年生の存在感を出すことを意識してやってきました。それがチームの力になり、リーグ戦を通して成長できたことが勝利に繋がりました」とこの結果に胸を張ります。
今年の藤枝明誠は、金本鷹コーチが「過去最高」と評価する戦力が揃っています。しかし夏のインターハイでは初戦で北陸学院 (石川県) に敗れ、早々に大会を去ることになりました。そこで3年生が話し合って再認識したのは、3年生の存在感が薄いことがこのチームの弱みということ。インターハイまでは2年生ポイントガードの渡邊聖選手がゲームキャプテンを務めていましたが、「U18日清食品ブロックリーグ2025」からは3年生の野津洸創選手にその役割を託すことにしました。
「夏が終わってから、やっぱりこのチームは『3年生のチーム』にならないといけないと話をしました。聖に甘えている部分があったので、3年生の誰かがゲームキャプテンになれば自覚が増すんじゃないかと思い、『自分がキャプテンをやります』と言いました」と野津選手はゲームキャプテン交代の経緯を語ります。
チームキャプテンの戸田選手はこう補足します。「洸創が『俺がやる』と言ったのもありますが、エースの洸創にゲームキャプテンを任せて残りのシーズンを戦いたいというのが3年生全員の気持ちでした」
今大会の最終戦は、奇しくも学校行事で2年生全員が不在となり、3年生にとっては成長を示す絶好の機会でした。しかし、前半は「いつもと違うメンバーでディフェンスのローテーションが上手くできず、リバウンドでも戦えていませんでした」と戸田選手が語るように、苦戦を強いられます。
それでも、金本コーチは苦戦した前半に野津選手の成長を感じていました。第2クォーターの序盤、1年生のンバイ モドゥ選手がリバウンドに入らなかった場面で、野津選手はすかさずンバイ選手に声を掛けてリバウンドへの意識をうながし、自らはリバウンドのカバーに入りました。さらにプレーが止まったタイミングであらためてンバイ選手を呼び、コミュニケーションを取る姿も見られました。
金本コーチは「今までの野津は自分のことでいっぱいいっぱいで、自分の好不調で浮き沈みする選手でした。今日も彼自身の調子はどちらかというと良くなかったのですが、その中でも下級生に意識が向けられていました。精神的に大人になりましたね」と評価します。
野津選手自身も「ウインターカップ予選は結果として勝つことができましたが、自分が熱くなりすぎたという反省がありました。今日は県大会後初めての試合で、シュートはあまり入らないゲームでしたが、そういう時ほどどれだけチームをまとめられるかがゲームキャプテンの仕事です。周りの選手が熱くなった時に声を掛けたり、ンバイのミスをカバーしてあげられたり、スコアに残らない黒子の部分でチームに貢献できました」と笑顔を見せます。
ゲームキャプテンとチームキャプテンを務める戸田選手と野津選手は、中学時代にクラブチームのゴッドドアでプレーした仲間です。戸田選手が先に藤枝明誠への進学を決め、野津選手は「湧大とプレーをしたい」と同じ進路を選びました。
「試合に出ていなくても、湧大の存在は誰よりも大きいんです。常に的確で、チームを良い方に導いてくれる」と野津選手が言えば、戸田選手は「しんどい時にずっと横にいてくれる。あまり一緒に試合に出ることはありませんが、チームを上手く引っ張れない時も2人で相談してきました。自主練も2人でずっと一緒にやってきました」と答えます。
一緒に高め合ってきた2人のキャプテンは、あとわずかとなった高校バスケを最後まで全力で駆け抜けます。
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