柴田学園大学附属柴田学園(青森県)の波多野陽南選手は、国内トップレベルでのプレー経験を持つ両親のもとに生まれたサラブレッドです。180cmの長身と高い身体能力、長い手足など、至るところに琉球ゴールデンキングスなどでプレーした父の波多野和也さんを感じさせます。
左右色違いのバスケットボールシューズを履いている理由も、和也さんの現役時代にならってだとうれしそうに教えてくれました。
郷里の静岡県から遠く離れた青森の高校に進学した理由は、「練習の雰囲気が良くて。誰かにやらされるのでなく、自分たちから練習を盛り上げて取り組んでいるところ」です。「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループA」の聖和学園(宮城県)戦を戦ったチームは、この言葉通りの元気の良さが光りました。
東北ブロック大会で準優勝した強敵を相手に、チームキャプテンの村田陽菜選手不在で挑むことになり、そのハンディを払拭するために「ディフェンス、リバウンド、ルーズボールを徹底して、声を出して、とにかく走ろう」と気持ちを合わせ、笑顔でコートに入ります。
試合開始直後から激しいディフェンスで相手のターンオーバーを誘い、ガードの石塚夏実選手や1年生の古坂楓選手が素早い攻めから得点を重ねるスタートダッシュを決めました。波多野選手もインサイドにポジショニングしながらタイミング良くアウトサイドに飛び出してボールを受け、ペイントアタックで相手のファウルを誘ったり、ブロックショットを成功させたりと好調でした。
しかし、36-36の同点で迎えた第3クォーターは聖和学園の3ポイントシュート攻勢への対応が遅れ、一気にリードを広げられます。ただ、なかなか反撃の糸口が掴めない中でも、チームのスタイルであるカッティングやスピードを生かしたオフェンスを最後まで貫き、ゲームキャプテンでありエースでもある波多野選手も果敢なドライブや3ポイントシュートで攻め続けました。最後は63-93で敗れましたが、最後まで戦い抜いた試合から得たものは多かったようです。
「第3クォーターの出だしで、相手に3ポイントシュートをたくさん決められてしまったところがポイントでした。あそこでもっと最初から強めのマークしなければいけなかったですが、前半でちょっと体力を消耗してしまいました。体力はチームの課題なので、これからしっかり改善していきたいです。私自身もいつもより攻める回数が少なかったので、ディフェンスをしっかり見て、攻めるチャンスを作れるようになりたいですし、3ポイントシュートの波もなくしていきたいです」
柴田学園大学附属柴田学園は2年ぶりに「U18日清食品ブロックリーグ」の舞台に戻ってきました。1年時に主力としてこの大会を経験している波多野選手に感想を尋ねると、「県外の強豪チームと戦うことで課題が見つかります。プラスになる部分があるのでやっぱりこの大会は楽しいですね」と笑顔で答えました。
当時はなかった他地域のチームとの対戦についても「関東の2チームは両方ともスピードがあるチームだったので、練習から走ることを意識したり、ランメニューも増えました」と、この大会に臨んだからこその積み上げができたと教えてくれました。
今年3月、波多野選手はU18日本代表のエントリーキャンプに選考されました。両親がともに果たしたメンバー入りは果たせませんでしたが、「日本代表に入る」という目標は今でももちろん継続中。U18日清食品ブロックリーグで得たたくさんの経験を次のステージに繰り越し、さらなる成長を遂げるのが楽しみな選手の一人です。
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