11月29日、藤枝明誠(静岡県)は「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループD」最終戦となる四日市メリノール学院(三重県)に91-62で勝利しました。試合が成立すれば優勝決定という状況でしたが、チームの目標は全勝優勝です。勝つのは大前提で、一試合一試合を勝ちながらチームとして成長していくことが藤枝明誠の掲げた目標でした。
それでもこの最終戦はエースの渡邊聖選手を始めとする2年生が学校行事で全員不在となり、いつもと異なるローテーションが思うように機能しません。前半を終えて41-33とリードはしていましたが、ディフェンスで粘り強く食らい付く四日市メリノール学院の奮闘がむしろ際立つ内容でした。
それでもハーフタイムに3年生が中心となって修正点を確認し、気持ちを引き締め直した第3クォーターを24-9と圧倒。そのまま相手に反撃の機会を与えることなく勝ちきりました。
苦戦を強いられたものの、3年生にとっては価値のある勝利でした。キャプテンの戸田湧大選手は、この大会を通じての3年生の思いをこう代弁します。「インターハイで結果を出せず、3年生が率先してチームを引っ張ることができないことで、チームの一体感が足りないと感じました。このリーグ戦の時期は、試合だけじゃなくすべてにおいて3年生が良い存在感を出せるよう、プレーはもちろんベンチでのリーダーシップなどを高めていこうと意識していました。
戸田選手個人としては試合前の声掛けで、チーム全員が同じベクトルで試合に入れるような発言を心掛けたと言います。そうやって7試合を戦ったことが、チームの地力を大きく高めたと戸田選手は感じています。「このグループDは今年のU18日清食品ブロックリーグの中でも特にレベルが高かったと思います。全勝しましたが簡単な試合は一つもなくて、今日のように前半が悪くても後半に立て直して勝ってきました。どれが一番の試合かは決められませんが、全体を通して良い戦いができました」
これで藤枝明誠は来年3月の「U18日清食品トップリーグ2026入替戦」に出場します。「もう1年早く入替戦があったらなと思います」と戸田選手は苦笑を漏らしますが、後輩たちがU18日清食品トップリーグ復帰を勝ち取ってくれると信じています。
入替戦の相手は福岡第一(福岡県)です。インターハイとウインターカップでの優勝は9回、「U18日清食品トップリーグ」にも2022年から全大会に出場し、2022年には優勝を勝ち取っている強豪です。しかし、金本鷹コーチに動揺はありません。「U18日清食品トップリーグに出られれば良いとは思っているわけではなく、そこで勝つチームでありたいと思っています。ここで福岡第一から逃げ回るようでは、いつまでたっても勝てません」
新チームになってからの準備期間は短いですが、条件はどのチームも同じ。可能な限りの準備を整え、来年3月の「U18日清食品トップリーグ2026入替戦」を勝ち抜くつもりです。
富田(岐阜県)はウインターカップ出場を逃し、「U18日清食品ブロックリーグ2025」最終戦の山梨学院(山梨県)戦が3年生の引退試合となりました。またこの試合は、今年度限りでの退任が決まっている村田竜一コーチのラストゲームでもありました。
キャプテンの阪晃成選手は「勝っても負けても自分たちのやるべきことをやりきるのが僕たちの目指してきたスタイルなので、公式戦がある限りは今までと変わりなく練習をして、試合を戦うことにしました」と言います。
「最後だから楽しく」とか「思い出作り」ではなく、3年間やってきた村田コーチのバスケ、富田のスタイルを貫く──。こうして富田は70-66で接戦を制し、有終の美を飾りました。阪選手はやり切った充実感と、終わってしまった寂しさの入り混じった表情でこう話します。「最後までどちらに転ぶか分からない試合で、いつも通り落ち着いて集中していたのですけど、やっぱり頭のどこかで『こんな展開のバスケができる機会はもうあまりないかもしれない』というワクワクした気持ちがありました」
今後は後進のサポートに回るという村田コーチは「県予選ではすごく消化不良の試合をして、悔いが残るところでした。その後、このリーグ戦の2試合を戦えたのはありがたいです」と語ります。「つくば秀英(茨城県)さんとの試合は、ウインターカップに出場できないチーム同士の対戦で、つくば秀英のホームコートに保護者の方々がいっぱい入って、素晴らしい雰囲気で試合ができました。今日も山梨学院さんはフルメンバーで戦ってくださいました。この大会にモチベーションを持って臨み、最後まで戦えて良かったですし、自分たちがやってきたバスケを表現する場をいただけたことに本当に感謝しています」
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