県立富岡東(徳島県)はインターハイに26回、ウインターカップに14回出場している名門校です。「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループG」では初戦で酪農学園大学附属とわの森三愛(北海道)に91-68で、翌日には神戸龍谷(兵庫県)に110-77と大勝。勢いに乗ったチームは開幕5連勝を飾りました。
12月6日に行われた東海大学付属福岡(福岡県)とのホームゲームは、優勝を争う全勝対決となりました。昨年には「U18日清食品トップリーグ」を戦っていた東海大学付属福岡を相手に前半を終えて39-41と互角の勝負を展開します。しかし、第3クォーターに14-25と突き放されて、最終スコア68-83で敗れました。
勝っていれば優勝を大きく引き寄せる一戦を落としましたが、試合後の西田良裕コーチは「東海大学付属福岡がウチにまで来てくれて対戦できるだけでありがたいです」と語ります。
試合には敗れましたが、その悔しさよりもずっと大きな収穫があると西田コーチは言います。「前半は良い戦いができましたが、こちらは必死でも相手はどこか余裕がありました。良い戦いができる時間を伸ばすには、セカンドユニットやサードユニットがもっと戦えるようにならないといけないのですが、これはコーチがどれだけ言葉で言っても選手には伝わりません。こういう試合を経験することで選手たちが『自分たちがやらなければ』と気付き、そのための努力ができるようになります。そのきっかけを得られたことが本当にありがたいです」
現在のチームを引っ張るキャプテンの外川夢夏選手、エースの川畑優月選手も、西田コーチの考えは理解しています。「私たちも去年のウインターカップでは全然点が取れず、去年の先輩たちが引退したことで『やらなければいけない』という気持ちになって、力を発揮できるようになりました。それでは遅いのですが、今それを後輩たちに伝えることはできると思っています」と語るのは外川選手です。
「私たちのように小さなチームはオフェンスもディフェンスもとにかく頑張らないといけなくて、チーム全体を上げていかないと強くなれません。1、2年生には『ミスしてもいいから気持ちだけは負けないように』と送り出しているのですが、ミスして交代させられることもあるし、どうしても委縮してしまう部分があります」
ただ、下級生が実力不足だとは思っていません。「学年ごとのチームで試合をすると、前は3年生が全部勝っていたのですが、最近では2年生チームに私たちが負けることもあります。でも、接戦になったら私たちが必ず勝っていて、それは気持ちの強さの違いだと思います。全国大会で自分たちの力を発揮しようと思ったら、普段の練習から気持ちの強さが必要で、自分たち3年生が相手でも絶対に勝つという気持ちを出してほしいです」
外川選手の成長を一番近くで見てきた川端選手は、その変化をこう明かしてくれました。「人間性がすごく良いんですけど、最初はあまりしゃべってくれませんでした。でも3年生になって『自分がやらなきゃ』で声を出すようになって、誰かが失敗した時でも積極的に声を掛けて、チーム状況が悪い時にも率先して声を出してくれます」
外川選手が変わるきっかけは、今年2月の四国新人大会でした。チームは優勝しましたが、外川選手はケガでプレーできませんでした。「めっちゃ悔しかったのですが、プレーできない分まで声を掛けることを意識して、それでチームの雰囲気が良くなり、声を出すことで勝てる試合もあると気付いて、そこからすごく声が出せるようになりました」
その変化があったから外川選手はキャプテンに指名され、川端選手とともにチームを引っ張るようになりました。サイズはなくても、ディフェンスからハードワークして流れを作っていく県立富岡東において、ポジティブな声掛けがもたらす勢いは大きなものがあります。大会最終戦となった明徳義塾(高知県)との試合では、その声の力もあり83-72で接戦を制しました。
川端選手はリーグ戦を通しての収穫を「個人としては3ポイントシュートの確率が少し上がりました」と言い、「声もすごく出るようになって、ディフェンスで走りきるチームになりました」と成長を語ります。
外川選手もこう続けました。「たくさんのことを学べたので、それを毎日の練習に生かしていきたいです。練習だからミスをしてもいいと思うのではなく、いつも全国大会の試合をやっているような緊張感を持てるように。練習でやってきた成果を試合で全部出せるチームになりたいです」
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