「U18日清食品ブロックリーグ2025 グループA」の最終戦、ともに全勝の八雲学園(東京都)と札幌山の手(北海道)による優勝決定戦は、今年の同大会屈指のハイスコアゲームとなりました。
この試合までのグループにおける得失点差は、八雲学園が+190で札幌山の手が+170。オフェンシブなスタイルで知られる両者の対戦は、試合開始直後から激しく、目まぐるしいものとなりました。
華麗なパッシングからチャンスを生み出す八雲学園に対し、札幌山の手は高橋優希選手や石原優月選手が素早くボールをフロントコートに運び、ピック&ロールを駆使してのペイントアタックや3ポイントシュートなどで内外自在に得点を重ねます。第1クォーター終了時点で32-39と、高校バスケらしからぬハイスコアでした。
ガードとしてチームをまとめる高橋選手は、八雲学園の186cmの留学生プレーヤー、テウ・アダマ選手をしっかり守り、そこからトランジションバスケで得点を重ねるというプランを持っていましたが、「そこが上手くいかず、点数を取られてしまいました」と試合後に語りました。
ここぞという場面でダブルチームを仕掛けることで、試合序盤から多くのターンオーバーを奪うことはできていました。アダマ選手とのマッチアップを担った大森伊月選手も172cmの身長で奮戦しました。しかし、身体能力とスキルに優れたアダマ選手を抑えきるのは難しく、他の選手たちの得点能力も高さもあり少しずつ点差を離されていきます。
終盤は高橋選手、石原選手、中西実歩選手らが積極的に3ポイントシュートを放ちましたがおよばず、97-127で試合終了。準優勝で大会を終えました。
数々のWリーグ選手を輩出する札幌山の手は、道予選決勝で日本航空北海道(北海道)に敗れ、夏のインターハイ出場を逃しています。「全国に出られなかったので、自分たちがどれくらい通用するかが分からない状態でブロックリーグに入りました」と高橋選手は振り返りますが、初戦の日本航空(山梨県)、翌日の星槎国際湘南(神奈川県)と留学生を擁するチームに連勝し、その後も得意とするハイスコアゲームで勝ち星を伸ばしていきました。
「八雲学園には負けてしまいましたが、他のチームには自分たちのバスケが通用することが分かり、この大会を通じて自分たちの通用する部分や反省点が見えてきました。すごく良い経験になりました」と高橋選手は大会を振り返ります。
1対1でアドバンテージを取ること。ただ速いだけではなく、多彩なプレーを絡めた速攻で得点を重ねられること。北海道だけでは得られない様々な学びがあったと高橋選手は言い、長丁場のリーグ戦だからこそ得られた成長を感じています。
「個人で戦っていたところからチームで攻められるようになったことで、大会序盤には出せなかった粘りが出せるようになりました。『チーム全員で戦おう』という意識が大会を通して養われたと思います。自分個人としては、ずっと意識してきた得点力や個人技が通用することが分かったし、それが通用しない時に周りを生かす部分でも成長できました」
名門、札幌山の手で1年生からスタメンのガードとして活躍し、ウインターカップのメインコートも経験している高橋選手は、故郷の千葉から北海道にやって来ました。北海道で初めて冬を迎えた時は「雪の上を上手く歩けず転びそうになります」と話していましたが、今は「寒さをそんなに感じなくなってきました」とすっかり道産子のたたずまい。「U18日清食品ブロックリーグ2025」で得たたくさんの学びを糧に、残り少なくなった高校バスケを全力で駆け抜けます。
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