東山の#5 中村颯斗選手(179cm/3年)にとって、第1クォーター10分間を丸々ベンチから見守る経験は、入学以来「初めてかもしれない」ことでした。
9月21日に兵庫県のグリーンアリーナ神戸で開催された「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン1」で、東山は仙台大学附属明成(宮城県)と対戦。本来のスターティング5とは異なる組み合わせで挑んだ第1クォーターに、17-6と上々の滑り出しを見せました。
エースの中村選手はこの試合と、2日前の鳥取城北(鳥取県)戦の2試合とも控えからの出場。仙台大学附属明成戦の第1クォーターは、チームの流れの中で10分間を中村選手抜きで戦ったのです。彼が初めてコートインしたのは第2クォーター開始時。同クォーター残り6分17秒にトップから3Pシュートを沈めてこの試合初得点を記録すると、ハーフタイムを挟んだ第3クォーターにも1本をメイク。結果的に中村選手の得点はこの6点と、試合最終盤のバスケットカウントを含む9得点にとどまりましたが、チームとしては下級生も積極的に登用しながら後半に仙台大学附属明成を突き放し、76-49の快勝で週末の2試合を締めくくりました。
本来エースであるはずの中村選手をセカンドユニットとして起用した理由について、大澤徹也コーチは「特別な意図はない」とし、以下のように説明します。
「今、久遠(#8 佐藤久遠選手/180cm/2年)と颯斗を同じチームで使わない練習をしていて、その中で久遠をポイントガードにしたときに一番スムーズにできたのが、この2試合でスタートだった5人でした。この週を迎える時点で一番良い組み合わせをスタートにしたという感じです。ただ、いざ公式戦となるといろいろと不具合も出てきて、その中で彼が途中から出てきてどういうプレーをするのかを見ていました。最終的にはもちろん、颯斗や久遠をメインにしていくのですが、まだコンディションが万全ではないので、それはもう少し先かなと思います。そこに、吉本(吉本拓志選手/184cm/1年)も絡ませていきたいです」
中村選手も、ベンチ出場だからといってモチベーションが下がることはありませんでした。むしろこの先、大学やプロでのプレーを見据える中で「そういうことが必ず出てくると思うので、ベンチから出たときにどういうプレーをするのかの勉強になりました」と前向きでした。加えて、「自分が出ていない間にいつもはベンチから出て行くメンバーがスタートで出ていたので、彼らの経験にもなります。僕も、いつもベンチから出てくるメンバーも、みんなが経験を積むことができました。もっと自分がやりたいと思うことも確かにあるんですけど、でもやっぱりこれも勉強」と、この2試合を良き学びの場としていました。
生粋のスコアラーであり、ボールを持って、シュートを打って生きる選手である彼が、そうやって思考を変化させられるようになったのは、過去2年の実体験が影響しています。「今までは何も考えずに自由にやらせてもらっていました。でも、今年は3年生になって、今まで自分がやらせてもらっていたようなことを、今度は僕が久遠や拓志にやらせてあげる番だと思っています」と中村選手。そこには、確かな人間性の成長がありました。
その上で、大澤コーチは中村選手に「点を取ることは忘れてほしくない」と言います。「ガードとしての技量も上がっていますし、周りを使うことも意識できるようになってきました。だけど、今までは周りを使おうとし過ぎてしまっていたり。だから、シュートはあまり入りませんでしたが、3Pシュートを打ちにいこうという姿勢がすごく見えたこの2試合を見て、『本来の颯斗が戻ってきたな』と僕は感じて、少し安心感がありました」と穏やかな表情を浮かべました。
中村選手も「接戦の大事な場面には、得点源の僕や久遠が絶対に最後はチームを勝たせるという気持ちです。最後は自分が決めてやろうという気持ちはあります」と語気を強めました。
この2試合は中村選手にとって、新たな自分を発見できた学び大き週末になったことでしょう。その上で、次週では爆発的な得点力で会場を”アツく沸かせる”中村選手の活躍に期待したいところです。
第3週のタイムスケジュールやハーフタイムパフォーマンス情報、キッチンカーや来場者向けサンプリング、会場限定の大会公式オリジナルグッズ販売などの情報は、観戦情報ページをご覧ください。
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