「ガン!」と大きな音が高知県立県民体育館に響き渡ると、反対側のコートでの試合を観戦していた関係者たちも、何が起きたのか確認しようと振り返りました。これは高知中央(高知県)のンジー モハメド選手がパワーダンクをリングに叩き込んだ音でした。
9月19日(土)に行われた高知中央と育英(兵庫県)の試合、モハメド選手はペイントエリアを制圧し、47得点を記録して84-72の勝利の立役者となりました。208cmのサイズだけでなく、筋骨隆々の重戦車タイプ。最近の高校バスケ界では昨年まで鳥取城北(鳥取県)でプレーしたハロルド アズカ選手や、今の柳ヶ浦(大分県)でエースを張るファデラ ママドゥ選手のようにフォワードタイプの留学生が増えていますが、モハメド選手はその流行の逆を行く大型センターです。
スピードと運動量があるわけではありませんが、高さとフィジカルの強さは群を抜いており、ゴール下の得点だけでなく、リムプロテクトのインパクトも絶大です。しかもモハメド選手は前日まで体調不良で、本調子にはほど遠かったとか。それでも本人は「50点ぐらい取れました。仲の良い仲間と一緒に良いバスケができて、めっちゃ楽しいです」とまだ拙い日本語でうれしそうに語ります。
2年生のモハメド選手の大活躍を引き出したのは、周囲の仲間たちでした。宇野輝コーチは練習では様々な攻守の戦術を準備し、ゲームプランを組み立てますが、いざ試合が始まれば選手たちの判断に任せて、指示を出すことはほとんどありません。選手たちは各自それぞれ状況を判断し、話し合ってゲームを進めていきます。
この日は別のオフェンスを準備していましたが、モハメド選手に対してダブルチームを送らない相手のディフェンスを見て「それならばインサイドゲームだ」と判断し、モハメド選手のインサイドを強調する攻めを続けました。
2年生ながらキャプテンを務める東優馬選手は「試合中にそれぞれが自分の意見をしっかり伝えて、どこを起点に攻めるかを話し合うようにしています」と、選手主体のゲーム運びが噛み合ったことを喜びます。
点差はそれほど離れなかったものの、試合途中でオールコートディフェンスやスモールラインナップを試したり、普段は出番の少ない選手にプレータイムを与えたりと、様々な試みを入れながらリードを保ちました。そういう意味ではスコア以上の完勝と言える試合でした。
今の高知中央は下級生主体のチームですが、キャプテンの東選手を中心によくまとまっています。「下級生が多いチームですし、僕も下級生なので、正直まとめるのが難しいと感じることもあります。でも留学生も含めてみんな人が良くて、自分についてきてくれています。だからこそプレーでも声でも引っ張っていけるキャプテンになりたいです」と東選手は言います。
「1年前に比べてずっとしゃべるようになって、自分たちで考えて動けるようになっています。プレーのバリエーションもずっと増えました」と東選手はチームの成長を実感しています。モハメド選手も「左手を使ったドリブルが上手くなって、フィジカルも強いです。休みの日もケアとウエイトを頑張っています」と日々努力し、あこがれの存在であるレブロン・ジェームズとヤニス・アデトクンボに近付こうとしています。
そんな彼らが下級生チームだからこそ目指すのが「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン2 グループG」の優勝であり、入替戦を勝ち抜いて昇格し、自分たちが最上級生になる来年を迎えることです。「全国の強いチームと戦えるチャンスなので、1試合1試合を大切に戦います。ウインターカップで結果を残すこともありますが、このリーグ戦を全勝で優勝して、入替戦にも勝って『トップ』に行きたいです」と、東選手は言葉に気合いを込めました。
育英と県立広島皆実(広島県)に快勝して開幕から連勝スタートを切った高知中央。9月27日(日)に迎える福岡第一(福岡県)戦は、優勝に向けた大一番となります。
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