新潟市東総合スポーツセンター(新潟県)で開催された「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン1」第4週。その初日となる9月26日、開催地である新潟県の中学1、2年生男女32名を対象としたバスケットボールクリニックが開催されました。
このクリニックは、「バスケで日本を元気に」というJBAの理念のもと、「U18日清食品トップリーグ」の開催地において次世代選手の育成と競技普及の活性化を目指すものであり、開幕の第1週に続いての開催となります。 初開催となる今年度は、「U18日清食品トップリーグ」を連覇中であり、全国大会3大会連続優勝中の福岡大学附属大濠高等学校(福岡県)で、男子U18・U17日本代表のヘッドコーチとしても世界の舞台で戦う片峯聡太コーチが講師を務めました。さらに、アンダーカテゴリーの日本代表選手も数多く在籍する福岡大学附属大濠高等学校の選手8名もサポートとして加わり、中学生と一緒にプレーしながら直接指導にあたるという、参加者にとって非常に充実した貴重な機会となりました。
クリニックの冒頭、選手たちの前に立った片峯コーチは、「今日、私が色々な経験をした中で、やはりこの日本のバスケ、そして高校のバスケにおいても、1対1がでたらめに強い選手を育てることが急務であると考えています。ですので、今日は難しいことではなく、1対1でしっかりと攻め切れる選手になるためのクリニックができたらなと思います」と示しました。
そして、練習を通して意識すべき4つのポイントとして以下の項目を挙げました。
1つ目は、「相手を見ること」。オフェンスの練習であるからこそ、まずはディフェンスをしっかり見ることが重要です。
2つ目は、「ストレートラインを取りにいくこと」。自分とゴールを結ぶ最短距離の直線を真っ直ぐ狙います。
3つ目は、「インライン*のバトル」。ディフェンスとのコンタクトを恐れず、自分とゴールを結ぶ線の間のポジションを奪い合うことです。
4つ目は、「両足でフィニッシュすること」。ペイントエリアの中でバランスを崩してシュートを打てば相手のチャンスになってしまうため、できるだけ両足で踏み切ることを意識づけました。
*=ゴールへの最短進入路(インライン)を巡る、攻守のコースの奪い合い
福岡大学附属大濠高等学校の選手たちとハドルを組んで気合を入れた後、クリニックはウォーミングアップからスタート。2人1組でのドリブルドリルでは、ディフェンス役が腕を掴んだり押したりして邪魔をする中で、顔を上げて周囲の情報を吸収する練習が行われました。
片峯コーチは「ボールを脇に引き、ポケット(腰の位置)にしまえる選手というのは、そこで状況を判断できます。ずっとドリブルを突くのではなく、ボールをポケットに入れることで『ディフェンスを見てここが攻められそうだ』『ここはパスが良いな』と判断ができる。体の前だけでなく、体の後ろでもボールをキープすることを大事にしましょう」と、次の動作へのタメを作る技術を伝授しました。
続いて行われたのは、相手の逆を突いてストレートラインへアタックする練習です。「ただ自分が速く動くだけではなく、ディフェンスの足を動かして常に反対にいく。自分が動きたい方向に直接動くのではなく、フェイクを入れてズレを作る。相手を見て、逆を取る。これがとても重要なことです」と片峯コーチの指導に熱が入ります。
さらに、スピードで相手を抜き去った後、ディフェンスの前に体を入れてブロックする「ジェイル(ドリブル中に後方から追ってくるディフェンスを背中でおさえて動きを封じ、有利な状況を作るテクニック)」の技術や、コンタクトを恐れずに自分のコースを確保する「インラインバトル」の重要性も説かれました。
「1対1を強く仕掛けるとディフェンスが動きます。そうすると仲間がオープンになる。それを1対1の強い選手でなければ、やっぱり作れません。だから自分から体をぶつけて、スペースを自分で確保するという習慣をつけましょう」。トップレベルで磨き抜かれたファンダメンタルの本質が、論理的かつ分かりやすい言葉で中学生たちに落とし込まれていきました。そしてクリニックの締めくくりには、学んだ基礎を実戦に落とし込むべく、人数を増やした3対3などのドリルも実施されました。1対1でディフェンスを崩した後のキックアウト、エクストラパスから3Pシュートを狙う、はたまたドライブを仕掛けるなど、実際のゲームの中でいかに個の力を活かすかを中学生たちは熱心に試していました。
すべてのプログラムが終了したクリニック後には、片峯コーチや選手たちによるサイン会も実施され、参加した中学生たちは憧れのトップ選手たちとの交流に喜びを見せていました。
なぜ、片峯コーチはこれほどまでに「1対1の強さ」にこだわるのでしょうか。自身がヘッドコーチを務めたFIBA U17ワールドカップ2026やFIBA U18 アジアカップ 2026といった世界での戦いを通じて痛感した課題にあると明かしてくれました。
「元々、個をしっかり強くするということは、福岡大学附属大濠でもずっとテーマとしてやってきたことでした。ただ、それよりもボールをしっかり動かすといった、少しきれいなバスケも必要だという傾向に日本全体としてなっていたと思います。私自身も、きれいなバスケが7割、シンプルにねじ伏せるような個の力は3割くらいでやっていく感覚でした」と片峯コーチ。しかし、世界の舞台で突きつけられた現実は違いました。
「世界は逆でした。7割ぐらいはもう個で解決してしまうほどの強さを持っていないといけない。ボールを動かしてズレを作るという共通認識でこじ開けていくのではなく、とにかくゴールに向かっていく個の力が強い。そもそもそれがなければ、相手からすれば脅威ではありません。やることが分かっているから、スイッチアップされればズレがない状態になってしまいます。痛感させられた反省も踏まえて、まずは自チームに徹底して落とし込んでいきたいと思っています」
だからこそ、中学生に対しても「きれいなバスケよりも、自分で決め切る、自分でズレを作り切る選手をしっかりと育ててほしい。そういうアプローチを色々な指導者が工夫しながらやっていければ、日本全体として強化できるのではないか」という思いを込めて、“1対1”をテーマにクリニックを実施したのです。
今回のクリニックでは、高校生である福岡大学附属大濠の選手たちも積極的に取り組みました。身振り手振りで中学生にレクチャーし、「ナイス!」「頑張れ!」と声をかけ、ハイタッチをするなど盛り上げる。片峯コーチは、選手たちが指導の場に立つことの意義を次のように語ります。
「コートの中で点数を決める、活躍するということだけがスポーツ選手としての価値ではありません。どれだけ多くの人たちに影響を与えられるかが、選手としての価値だと思っています。人に影響を与えられ、バスケをしている人やしていない人にも影響を与えていける。それがプロ選手なのです。そういった意味で、このクリニックの時にどれだけ子どもたちに働きかけられるかというのは、選手たちにとってすごく良い勉強であり、練習になったと思います」
またとないクリニックに参加した中学生の反応も素晴らしいものでした。ある男子選手は「ディフェンスを見ながら状況に合わせて判断することが学べました。今日片峯さんに教えてもらったことをクラブに戻っても活かせるように頑張りたいです」と語り、憧れの選手とハイタッチできたことに喜びを見せていました。
また、女子の選手も「ジェイルしてからいったり、コンタクトしてからいくことで、しっかりゴールまでいけるんだと分かりました。ディフェンスを見てドリブルを突く行動をあまりしてこなかったことや、コンタクトする練習をして試合でも実践できるようにしたいです」と確かな手応えを感じていました。
トップレベルの選手たちが日々磨き続けている考え、技術は、参加した中学生たちにとって大きな刺激となり、バスケの奥深さを知る貴重な一日となりました。この日学んだことを糧に、参加者が将来「U18日清食品トップリーグ」のコートで躍動する姿が待ち遠しく感じられます。
クリニックの様子はこちらのリンクからご覧いただけます。
YouTube【U18日清食品トップリーグ】▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
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「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン1」放送・配信情報
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