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藤井美友「気持ちを一つに」県立広島皆実(広島県)

県立広島皆実(広島県)は今年に入ってから、2月の中国新人ブロック大会の決勝で鳥取城北(鳥取県)を破って優勝し、3月の全関西大会でも岐阜女子(岐阜県)を破って決勝リーグ進出を果たして勢いに乗っていました。

ところが、19年に渡ってコーチを務めた村井幸太郎コーチが退任し、佐々井雄大コーチを迎えて新たなスタートを切ることに。佐々井コーチは県立広島皆実のOBであり、男子バスケ部を指導していたためにチームや選手を把握していたものの、急なヘッドコーチ交代でバスケのスタイルが変わり、選手たちを取り巻く環境も変わりました。佐々井コーチは「特に3年生は毎日の練習に集中するのも大変だったと思います」と、この時期を振り返ります。

3年ぶりにインターハイの出場を勝ち取るも、留学生にインサイドを支配されて新潟産業大学附属(新潟県)に1回戦負け。キャプテンを務める藤井美友選手は、「新チームになって県大会も中国新人も勝ち続けて、全関西もベスト4という良い流れの中でコーチ交代があって、チームの中がごちゃごちゃになって、みんなの考えもまとまりませんでした。それまでの勢いで県予選には勝てましたが、インターハイでは全然チームが噛み合っていませんでした」と苦しい時期を振り返ります。

しかし、ここから県立広島皆実は新たなチームとしてまとまり始めます。「最初は3年生が話し合って、気持ちを一つにしないといけないと思いました。4人しかいない3年生が噛み合わないままでは、チームが上手くいくはずがないので、全員が自分の中に抱えている不安や、こうすれば良いと思っていることをすべて話しました。一回で解決したわけではないですが、それでお互いの気持ちが確認できたし、そこから少しずつ噛み合うようになって、下級生も含めてチームがまとまってきました」

こうしてメンタル面での混乱から抜け出すのと足並みを揃えるように、佐々井コーチの新しいバスケが選手たちの間に浸透してきました。留学生がおらずサイズのない県立広島皆実は、チームの連動したオフェンスを武器としますが、昨年までのパッシング主体から、ドライブで目の前の相手を抜いてからズレを作り出す、さらにボールを持たない選手のカッティングも織り交ぜるスタイルへの変化がありました。

気持ちが噛み合わない間はプレーも噛み合いませんでしたが、チームがまとまるにつれて新しいバスケが形になっていくと、その新たな発見に選手たちは楽しさを見いだし、モチベーションも高まりました。藤井選手は言います。「私たちはサイズはありませんが、全員が1対1で勝負できます。ポジションレスで動きまわって、1対1を仕掛けながら合わせも狙う。合わせも単発じゃなくて2回、3回と続くので、見ていても面白いバスケだと思います」

合わせのプレーは普通、ゴール下に飛び込む選手にパスを合わせるものですが、今の県立広島皆実はコートのどこでもスペースに選手が走り、そこにパスが出て、その連携を連続で繋いでいきます。ただパスを回すだけでなく、ドライブを織り交ぜることがアクセントになり、一手先を読むのが難しい変幻自在の攻めとなります。

10月24日(土)の慶誠(熊本県)戦では、慶誠がリードしているにもかかわらず県立広島皆実の攻めに振り回されてローテーションが間に合わず、ストレスを溜める展開となりました。全員が積極的にドライブで攻め、合わせの連動する県立広島皆実の新しいバスケは、このリーグ戦の試合を戦うことでどんどん噛み合うようになっています。

もっとも、決定力はいまだ課題です。全員が激しく動き回るだけに、パスを待ち構えてのキャッチ&シュートがほとんどなく、スプリントしながら打つシュートが多いため、なかなか確率が上がりません。逆に慶誠は留学生のゴール下、セカンドチャンスから着実に得点を積み重ねました。

結果として59-73で敗れましたが、今の県立広島皆実は自分たちのバスケが形になっていく過程を楽しみ、試合で良いプレーが出るたびに自信を増しています。「イージーシュートのチャンスを作っても決めきることができなかったり、ディフェンスで隙が出てしまったり、今日の試合では課題もたくさん出ましたが、そこにみんなで向き合って、上がっていけばいいだけです。良いプレーもたくさん出たし、自分たちのバスケが今までで一番できた手応えもあります」と藤井選手は笑顔を見せます。

「私も一時期はモチベーションが危なかったです。何をしてもチームが良い方向に行かなくて、本当にどうしたらいいか分からなくて悩んだし、このまま高校バスケが終わってしまうのではないかと不安でした。そういう時期があったから、今チームが上手く噛み合うようになって本当にうれしいです」

サイズのないチームですが、177cmの廣野花香選手と174cmの中居仁衣菜選手という1年生コンビも県立広島皆実のバスケにフィットしつつあり、まだまだ伸びしろはあります。ポジションレスで人とボールが連動する、見る者を楽しませるバスケを、県立広島皆実の選手たちが一番楽しんでいます。

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