長崎県のHAPPINESS ARENAで開催された「U18日清食品トップリーグ2025」の開幕戦は、福岡大学附属大濠(福岡県)と帝京長岡(新潟県)のマッチアップとなりました。両者は今夏に岡山県で開催された全国高等学校総合体育大会(インターハイ)でベスト8入りし、互いにディフェンスを基盤とした実力あるチームです。
試合は序盤、福岡大学附属大濠が14-6と先行し帝京長岡に最初のタイムアウトを取らせます。しかし、帝京長岡もそのタイムアウトで修正を図り、第1クォーター中盤からは接戦に。福岡大学附属大濠は#4 勝又絆選手(3年/188cm)や#8 サントス マノエルハジメ選手(3年/195cm)らインサイド陣が泥臭くペイントで得点。さらには#13 榎木璃旺選手(3年/169cm)や#5 栗原咲太郎選手(3年/183cm)が外からスコアするなど、バランスの取れたオフェンスを展開します。対する帝京長岡は#7 赤澤翔心選手(3年/180cm)のペイントアタックや#9 藤田珀選手(2年/189cm)の3ポイントシュートで応戦し、前半を終えて51-45と福岡大学附属大濠が6点リードの接戦となりました。後半に入っても拮抗した展開は変わらず。最後は福岡大学附属大濠が10点の差(91-81)を付けましたが、開幕戦にふさわしい見応えあるゲームとなりました。
福岡大学附属大濠は「第33回 日・韓・中ジュニア交流競技会」参加のため、片峯聡太コーチと本田蕗以選手(2年/188cm)が不在。代わって指揮を執った池田大輝アシスタントコーチは、「インターハイの八王子学園八王子戦(準々決勝)を終えて、片峯先生とも何度もコミュニケーションを取りました。あの試合はトランジションから点が取れなかったので、僕たちとしては80点は取らないと試合で勝ち切ることは難しいと話していたんです。そんな中で(ディフェンシブな)帝京長岡さんというすばらしいチームを相手に、80点以上取れたことは良かったと思います」と試合を総括。ただ、「ディフェンスのところで前半だけで45点も取られてしまったところは僕たちの試合運びではなかったです。そこは反省すべき点かなと思います」とも話しました。
点を取るという面で、特に前半で積極性を見せたのが#23 白谷柱誠ジャック選手(1年/194cm)でした。リバウンドを奪うと自ら果敢にボールキャリーをし、留学生を相手にもぶつかり合いを恐れずにペイントアタック。さらにはジャンプシュートもリズムよく沈め、前半だけで13得点を記録しました。白谷選手は「普段から自分がアタックする意識は絶対に忘れずにやっている」と話し、その意識をさらに強めるきっかけが、八村塁選手(ロサンゼルス・レイカーズ)が開催した「BLACK SAMURAI 2025 THE CAMP」だったと話します。「試合前のウォーミングアップなどを(日々の練習に)取り入れていて、試合でもジャンパーなどが決められるようになってきたので、少しずつ成果が出ているんじゃないかと思います」と白谷選手。
池田アシスタントコーチも指導員の一員として、「BLACK SAMURAI 2025 THE CAMP」に参加しており、以降の白谷選手の変化について「意識が明らかに変わった」と話します。「練習前後に、本当にバスケットボールのための生活をしようというふうに感じたんだと思います」。その意識変化が如実にプレーに表れたのが前半戦の積極的な姿勢だったのです。また、オフェンスだけでなくディフェンスでも、ガードやウィングの選手にマッチアップする機会が多く、「外回りの選手に付くことは自分からなるべくしようかなと思っています。この身長でやっぱポストも外も守れる選手になれれば貴重な存在というか、出場時間も増やせると思うので、ディフェンスの部分でもより臨機応変にできるような選手になりたいです」と、決して点を取ることだけに目を向けているわけではありません。
ただ、彼もまだ高校1年生です。後半に入ると体力的な面から得点は伸び悩み、パスミスやドリブルを相手に狙われてのターンオーバーも増えてしまいました。その点についても白谷選手は「後半は体力切れしてしまった部分がすごくあったと思っていて、そうなったときにしっかりと体のバランスを整えながらシュートが打てる自信がまだなかったです。後半はゾーンアタックもあった中でパスが多くなったのかもしれないです。今後は(体力的な)コンディションも整えていって頑張っていきたいです」と明確に回答。1年生にしてここまで自分の強み・弱みを自己分析できるところにも、彼の伸びしろが感じられます。
強豪が集う「U18日清食品トップリーグ2025」で、白谷選手がどんな成長を見せていくのか楽しみでなりません。
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