『切り札』になる八重柏憂奈「もっと自分がやるという意欲を」
浜松開誠館(静岡県)
浜松開誠館(静岡県)の三島正敬コーチは、コートサイドで選手に声をかけ続けていました。
「『ここを使って攻めなさい』と言っているのですが、そこを見ていなくてパスを入れられなかったり、違うところでやろうしたりしている。だから手詰まりになって、当然シュートが入らない。インターハイもずっとそうだったので、繰り返し言い続けているんです」
インターハイでの浜松開誠館は、U16日本代表でもある2年生エースの後藤音羽選手が1回戦の東京成徳大学(東京都)戦で31得点、2回戦の日本航空(山梨県)戦で20得点の活躍を見せ、順調に勝ち上がりました。しかし3回戦の精華女子(福岡県)で、後藤選手が相手の執拗なマークに苦しみ、15得点に抑えられて敗退。ウインターカップに向けて再スタートを切ったチームは、「U18日清食品 東海ブロックリーグ2023」に明確な狙いを持って臨んでいました。
「後藤を起点にする攻撃はできている。しかし精華戦の時はそこを守られて負けました。だから後藤とは違うポイントを作りたい」
しかし、今大会2日目の第1試合、星城(愛知県)との対戦でも、後藤選手がコートに立っていた第1クォーターは15-19、第3クォーターは21-17と互角でしたが、彼女が不在だった第2クォーターで5-13と大きく離され、最終スコア52-64で敗戦。インターハイと同じ課題が浮き彫りになりました。
三島コーチが『後藤選手とは別の起点』としてステップアップを期待しているのは、2年生の八重柏憂奈選手です。インターハイではベンチ入りしながらも出場はありませんでしたが、「八重柏を育てたいんです。彼女にエース的にプレーさせたいので、そこにボールを集めるように言っているんですけど、なかなかボールが入らない。そこが一番のポイントです」と今大会での成長を促しています。
『切り札』として名指しされた八重柏選手は、コーチの期待が自覚につながったと話します。「今までは自分に自信がなかったり、気持ちの面で弱いプレーが出てしまったのですが、インターハイ後に代が変わって、自分も副キャプテンになって、その責任感も含めて自分がやらなければという気持ちがすごく出てきました。それがプレーにもつながって、先生にも見てもらえたことで、自分の自信になっています」
星城戦でコーチの叱咤を受けた八重柏選手は、この日の午後に行われた沼津市立沼津(静岡県)戦で、得意としているミスマッチを突いたインサイドプレーでチームを牽引。90-48での快勝に貢献しました。
「先生が自分のところで点を取るようにと言ってくださっているので、もっと自分が点を取らないといけないし、自分が起点となってアシストをしたい。もっと自分がやるという意欲を見せて、チームの状況が悪くても良くても安定したプレーをしていきたいです」
インタビュー取材中、「もっと」という言葉を何度も繰り返した八重柏選手。「もっと変わらないと勝てない」と貪欲に成長を誓います。
この記事をシェアする