伊藤匠「この大会で学んだことを生かして」
浜松学院(静岡県)
浜松学院(静岡県)は最も身長が高い選手でも187cmと、全国を狙う強豪としては比較的小柄なチームです。森下貴之コーチは、留学生がいるチームと対戦できる「U18日清食品 東海ブロックリーグ2023」をビッグマン強化の良い機会ととらえています。
「ドリブルや1対1では戦える部分があるのですが、うちの弱点はリバウンド。身長が低いので、最終的なところでリバウンドを拾われて得点にされてしまう。こういう全国レベルの大会を通して、少しでもその弱点が良くなればと思っています」
弱点補強のために成長を期待されているのが、3年生の衛藤巧選手と伊藤匠選手です。大会2日目の桜丘(愛知県)戦では、果敢にリバウンドに飛び込み、オフェンスでは力強いリングアタックを仕掛けと、頭一つ分ほど身長差のある留学生相手に臆することなくマッチアップしました。
「衛藤も伊藤も187cmしかないんですけど、うちにとっては大事なビッグマン。2人とも昨年までは全く試合に出ていなかったので、ゲーム慣れをさせながら、ゲームの中で少しずつでも伸びていってほしいと願っています。彼らには『いきなり1から10にするのは難しい。でも1から2はできる。それが3に、4になればいいし、ウインターカップまでに10にできるだけ近づけよう』と話しています。元気がいい子ですし、練習では動けるようになってきている。自分の殻を破れればもっとできるはずです。留学生に対してもハッスルできるようになれば、もっと上手くなっていくと思います。昨日(安城学園戦)よりも今日は良い部分が出てきています」
8月9日から11日に行われた前半戦の翌日からは、浜松学院大学と練習試合を行ったそう。「U18日清食品 東海ブロックリーグ2023」の7試合に加え、大学生との3日間の練習試合を終えて、再び森下コーチに話を聞くと、「大きい選手が少しずつプレーに絡めるようになったことを確認できたのがこの夏の収穫です。ここからもう一段階、一番後ろで必要な存在になるという部分を鍛えていきたい」と試合を重ねて成長していく姿に頼もしさを感じている様子でした。
伊藤選手も自らの変化を感じています。
「身体の当たり合いでは留学生の方が強くて、気持ちの面で負けたら終わりなので、その部分ではしっかり戦うことができました。留学生と対戦する機会が多かった中で、自分で学習して『次はこうしよう』とリバウンドに行く姿勢などを工夫することができたのも変化です」
取り組むべき課題も浮き彫りになりました。最終戦の四日市メリノール学院(三重県)戦は、11点リードで迎えた最終クォーターに逆転されて65-68で敗れました。リング下でのフィジカルな戦いは激しく体力を消耗させます。
「自分たちは大きな選手がいない分、最後まで走り切るチームを目指しています。だから夏の間にしっかり走るためのトレーニングをしてきましたが、体力的に限界がきて、ディフェンスが甘くなったところで逆転をされました。体力はチームとしての課題」と、伊藤選手は『夏休みの宿題』にしっかり向き合うことを誓います。
「次の目標であるウインターカップ出場に向けて、今日のこの敗戦が気持ちを入れるいい機会になりました。この大会で学んだことを帰ってからの練習で生かしていきたいです」
充実した夏になったことは、その力強い言葉が証明していました。
この記事をシェアする