蒲望実、悔し涙を流すも「頑張って、西高らしく戦いたい」
高山西(岐阜県)
高山西(岐阜県)のキャプテンを務める蒲望実選手は、6月の東海ブロック大会で部を引退し、大学進学を見据えた受験勉強に専念する予定を取りやめて、「U18日清食品 東海ブロックリーグ2023」に出場しました。
「インターハイ予選も東海ブロック大会も楽しかったので。インターハイ予選は強いところ相手にもしっかり戦えて、ウインターカップ予選でリベンジしたいと思ったし、東海ブロック大会はYouTubeで見るようなカッコよくて強いチームと戦えて、自分に通用するプレー、通用しないプレーが分かりました。それが楽しくて、まだやめたくないって思いました」と蒲選手は言います。
高山西が所在する飛騨高山地区は、同校の下畑耕一コーチいわく「バスケをやっている中学3年生は多分25人もいない」という小さなエリアです。蒲選手はこの町でバスケを始め、小学生の頃から県内で注目を集め、高校進学の際には他地区の強豪からもオファーを受けた中で「ミニバスの頃から憧れだった先輩と一緒にやりたい」いう理由で高山西に進学しました。下畑コーチは「他の選手たちは彼女と一緒にバスケをしたくてウチに来たところがあるんです」と教えてくれました。
今年5年ぶりに東海大会に出場した高山西にとって、U18日清食品 東海ブロックリーグで対戦する相手はいずれも普段対戦しないような強豪ばかり。下畑コーチは「東海大会を1回戦で負けてしまう僕らからすると、このリーグ戦は東海大会が7回あるようなもの」と話し、蒲選手は「もう全然通用しないなって思ってます。課題しか見つかりません」と悔し涙をこぼしました。
ただ、高山西はそういった苦しさや葛藤を抱えながらも、明るく楽しく戦おうという気持ちがよく見えるチームでした。いいプレーにはベンチメンバー全員で喜び、下畑コーチも常に前向きな言葉で選手たちを励まします。取材中は涙を浮かべる時間が多かった蒲選手も、「レベルの高い大会に参加させてもらったので、残りの試合で対戦するチームもめっちゃ強いけど、頑張って、西高らしく戦いたい」と話します。
蒲選手は高校卒業後、看護系の大学に進む予定です。「親戚に看護師が多いんですけど、私は特に助産師になりたくて。なんか一番めでたいし、一番うれしい瞬間を助けられるじゃないですか」と笑顔で夢を語り、バスケに本格的に打ち込むのは、おそらくこの「U18日清食品 東海ブロックリーグ2023」とウインターカップ予選までと言いました。
しかし、蒲選手は残りわずかとなった時間の中でも成長を止めようとしません。
「憧れの森岡ほのか選手(日立ハイテク クーガーズ)みたいに、アウトサイドでもドライブでも点が取れて、大事なところでリバウンドを取れる、なかなか止められないような選手になりたいです。この大会もあと少しだけど、もっともっと強くなりたいんです」
結果としては7戦全敗を喫した高山西。それでも小さな町のスター選手が見せたこのような貪欲さは、東海の強豪と公式戦で連戦を重ねるという得難い経験をした下級生たちにとっても大きな刺激となるに違いありません。
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