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U18日清食品リーグ

松本和也、個性派集団をまとめ上げようと試行錯誤するキャプテン
和歌山南陵(和歌山県)

U18日清食品リーグ2023 大会レポート
U18日清食品 近畿ブロックリーグ2023
レポート

「U18日清食品 近畿ブロックリーグ2023」が9月2日に開幕しました。和歌山南陵(和歌山県)は初戦で阪南大学(大阪府)と対戦。相手を圧倒する良いシーンが何度もありながらも、試合の主導権を握ることができず、終盤に突き放されて84-98で敗れました。
和歌山南陵 和中裕輔ヘッドコーチは「この1週間のモチベーションがあまり良くなくて、この大会が始まることで奮発してほしかったのですが、力及ばずでした」と語ります。「追い上げたところで気を抜いてしまい、また離されるきっかけを自分たちで作ってしまう。バスケの技術よりもメンタルをもっと鍛えなければいけないですね」

選手たちが自分で考え、苦境を乗り越えてほしいと、悪い流れの中でもあえてタイムアウトを取らない場面もありました。「タイムアウトを取ってもあまり私からは指示せず、誰かに頼るのではなく自分たちで頑張ってほしいという意図がありました」
キャプテンでポイントガードの松本和也選手は、和中ヘッドコーチのその思いを感じ取っていました。「ディフェンスで5人全員でハードに守り、リバウンドやスティール、ターンオーバーからブレイクを出して、5人でパスランをしながらイージーな展開に持っていくバスケをしたいんですけど、逆に個人個人の能力で行ってしまいました」
和歌山南陵の選手は、フィジカルでもスキルでも光るものを持っています。それでも、能力が高いからこそ個性も強く、チームとしてまとまるのは大変なのかもしれません。

U18日清食品 東海ブロックリーグレポート画像 「本当に僕たちは個性派集団というか、おちゃらけじゃないですけど、それぞれのメンバーが追い掛ける方向性が一つじゃなくてチームとして迷ってしまう、バラバラになってしまうことがあって。去年だったら僕が2年生から試合に出させてもらって、他にも下級生で試合に出てる選手がいたんですけど、新チームが始まって『さあやろう』となった時に、背中を見せてくれる先輩がいないことに気付いたんです」

そんな中、悔しい敗戦から学べたこともありました。「阪南大学さんは試合前のアップから明るくて楽しい、みんなで盛り上げていく雰囲気がありました。僕らはそれぞれ勝ちたいと思ってやっているんですけど、それが良い形で出ていないというか。苦しい展開になった時、僕らは誰もしゃべらずに『自分が何とかしよう』って感じですが、相手は声を出して励まし合って、ハードなディフェンスからやっていました。今日はその違いが出て負けたと思います」
「何回も何回もミーティングして、南陵高校バスケ部としての責任感はみんな持っているんですけど、勝つためにそれをどう出していくかは変えていかなきゃいけないです──」
そう語る松本選手は、一生懸命に努力してもチームが良い方向に進まないことに苦しんでいるようでしたが、一つ噛み合えば一気に良い方向に変化するのもチームスポーツの面白いところです。

U18日清食品 東海ブロックリーグレポート画像 翌9月3日、京都精華学園(京都府)の試合も大混戦となりました。この試合での和歌山南陵には明確な変化がありました。残り30秒、79-84とビハインドを背負う場面でチームディフェンスからブレイクに転じ、チームでオフェンスリバウンドを取り切って松本選手の3ポイントシュートに繋げます。こうして2点差に迫ってのタイムアウトでは、選手同士がコミュニケーションを取り合って、チームで戦う姿を強調しました。残り10秒からのリスタート、松本選手がスティールからのワンマン速攻を決めて延長に持ち込み、最終スコア94-93での逆転勝利を挙げています。
和中ヘッドコーチは「この近畿では正直どこが勝ってもおかしくないです。その中で勝つのは前提ですけどいろんなことを試して、理想は選手たちが自分で動いて優位に立てるチームになることです」と語ります。和歌山南陵の選手たちは試合を通じて学びを得て、チームは成長していくはずです。

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