チームに欠かせない横田蓮「悪い空気を断ち切る力」
鳥取城北(鳥取県)
「入り大事だぞ」
「よっしゃー、OK」
「ハリーバック」
「我慢我慢、粘れ粘れ」
「中でしゃべれ」
「U18日清食品 中国ブロックリーグ」の2日目に行われたインターハイ出場チーム同士、鳥取城北(鳥取県)と県立豊浦(山口県)の対戦。ティップオフ直後から、大きな声が会場に響きました。
その声の主はコーチではありません。ベンチの一番エンドライン側に座っていた控え選手、鳥取城北3年生の横田蓮選手です。横田選手は手を叩きながら常に声をかけ続け、時にはコーチよりも前に出て最前線でチームメートにエネルギーを与えていました。
その声に背中を押された鳥取城北は、第1クォーターから2桁のリードを奪うと、終始リードを保って県立豊浦に72-53で快勝しました。この試合で横田選手がコートに立つことはありませんでしたが、河上貴博ヘッドコーチは彼を「チームに絶対欠かせない選手」だと語ります。
「プレータイムは少ないのですが、声でチームを鼓舞してくれる。今日の第3クォーターのようにダメな時間帯も声をかけて続けてくれるので、チームとしては本当に助かっています。キャプテンでも、何か役職があるわけでもないんですけど、キャプテンともコミュニケーションを取りながらリーダーシップをとってくれる選手なので、絶対ベンチに入れたいし、選手からもそういう声が上がっています」
声出しをするようになったのは、最上級生になってからだと横田選手は話します。「3年生になるまでは試合に少し絡んでいたのですが、新入生が入って試合に出る機会が減ってきました。そうした中で自分に何ができるかなと考えた時に、チームにいい影響をもたらすことは誰にでもできて、そういう部分を極めて、チームにとって『やっぱりこいつがいないとダメだな』という存在感のある選手になろうと考えて、練習から誰よりも声を出すことを心がけています」
声だけではありません。試合中に足を痛めた選手がいればすぐに氷の準備をし、水がこぼれてしまった時にはさっと立ち上がって床を拭き始めます。常にコート全体に目を配り、その瞬間にチームが必要としている役割を率先して担っていきます。
交代選手がベンチに戻る際には、必ず先頭まで走っていって最初に出迎えるのもルーティーンのひとつ。「去年の新人中国大会からずっとやり続けています。ベンチに帰ってきて、先生から怒られることもありますよね。そういう時にチームメートから『よかったよ』と言われたら、自分だったらうれしいです。自分がしてもらってうれしいことを、仲間にやってあげたいと思っています」と胸を張ります。
「インターハイもメンバー入りさせてもらって、周りからも僕が現地にいるだけでチームの雰囲気が良くなると言われました。自分には悪い空気を断ち切る力があると思っています。試合に出られたらそれが一番ですけど、出られなかったとしてもチームにいい影響をもたらして、チームの中で一番存在感がある選手になりたいと思っています」
コートでも、ベンチでも、常に全力でチームのために戦うことを誓います。
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