絶対的なエースに成長した伊藤知里「自分が引っ張っていく」
岡豊(高知県)
「U18日清食品 四国ブロックリーグ」は今年が2年目の開催。昨年大会の岡豊(高知県)で1年生ながら主力を務め、強気のアタックを連発していた伊藤知里選手は、絶対的なエースへと成長していました。9月10日に行われた英明(香川県)との試合で、フォワードの伊藤選手は昨年以上にアグレッシブに仕掛けるドライブから前半だけで3度のバスケットカウントをもぎ取り、相手がドライブを警戒すれば3ポイントシュートを射抜くなど、その能力にさらに磨きがかかっていました。
しかし、前半は互角の戦いを演じましたが、試合が進むにつれて英明のペースに。後半の伊藤選手は徹底したダブルチームを仕掛けられ、パスで打開を図るもうまくいかず、悪循環にはまってしまいました。
結果は60-74の負け。川井文雄ヘッドコーチは「2年生が主力の若いチームで、もうちょっと練習して経験を積ませてもう一度チャレンジしたい」と話します。「英明さんとはずっと練習ゲームをやっている仲なので手の内は分かっていますが、キャリアのある選手の集まる英明さんを相手にウチは高知県の選手だけで戦わなきゃいけない。その差を埋めるためには、もうちょっと練習、遠征、試合を多く経験させてあげたいです」
川井ヘッドコーチは絶対的なエースである伊藤選手の実力を認めた上で、チームの成長が必要だと説きます。「相手チームは1人では彼女を守れないので、必ずダブルチームで止めにきます。それに対してあとの4人がいかに彼女をサポートするか、逆に彼女を使って周りが生きるのが課題です」
それでも伊藤選手は「後半の流れが悪くなった時間帯で自分が点を取って、チームを盛り上げて立て直せなかったのが敗因です」と、エースとして敗戦の責任を受け止めました。
今年の岡豊はスタメン4人が2年生と下級生主体のチーム。伊藤選手の役割は去年とは大きく変わっています。「去年は3年生にパスをもらって私が行く感じだったんですけど、今年は自分が引っ張っていく立場です。自分が相手を引きつけて周りを生かすプレーを最近は心掛けています」
エースの強い意気込みを頼もしく思いながらも、川井ヘッドコーチは彼女にブレーキをかける立場でもあります。「1年からずっとスタートでプレーしてきて、疲労骨折したこともありました。絶対的な存在なので彼女に代わる選手はいませんが、だからこそ少しでも休ませることを考えていかないといけません。ちょっと点数が離れたら休ませる、他の選手を使って経験を積ませることを今はやっています」
地方の公立高校としては突出した能力を持つ伊藤選手について、川井ヘッドコーチは「全国レベルの選手です。なのでやっぱり大事に育てなあかん」と語ります。伊藤選手自身もその信頼を感じるからこそ、自分のプレーだけでなくリーダーシップでチーム全体を引き上げるべく、「声を出すのは全員がもっと意識しないといけない」と言います。
絶対的なエースが引っ張る岡豊は、その伊藤選手をサポートしてさらなる力を引き出せるチームまで成長できるのか。そのためにも「U18日清食品 四国ブロックリーグ」は大事な成長の場になります。
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