「助け合う形でプレー」で全勝、初代王者に 福島東稜(福島県)
福島東稜(福島県)は先発メンバー全員が2年生かつ、現3年生の代替わり時に渡部浩一ヘッドコーチが着任した若いチーム。今年は東北チャンピオンとしてインターハイに臨みましたが、力を出せずに初戦敗退を喫しています。
渡部浩一ヘッドコーチは「高校の全国大会でプレーした選手が誰もおらず、全国初出場のようなもので、会場の雰囲気やステージの高さに面食らってしまったところがありました」とインターハイを振り返ります。
ゲームキャプテンを務める加藤旭陽選手も「東北ブロック大会で優勝した時は自信が結構あったんですが、あんなに大きな会場で、大勢の人がいる場所で試合をするのは久しぶりで……。気持ちが舞い上がったり緊張したりして、自分たちのプレーが出せませんでした」と語ります。 それでも、大舞台での精神的な落ち着きは、場数をこなすことで身につくもの。福島東陵にとって「U18日清食品 東北ブロックリーグ2023」は、経験を積むとともに新たな戦術を試す重要な機会となりました。
インターハイまでゾーンディフェンス主体だったディフェンスを、マンツーマンディフェンス主体に切り替える取り組みも行い、最終戦の羽黒(山形県)との試合では、1対1の得意な選手が揃う羽黒を57得点に抑えることに成功しました。フォワードの小倉志龍選手は「マンツーマンディフェンスができるようになってきたおかげで無駄な失点が減り、それが勝利につながっています」と分析します。 これまであまり公式戦に絡んでいなかった選手たちを積極的に起用しながら、5試合全勝で優勝できたのも、チームにとって非常に大きな収穫でした。加藤選手は「スタートの2年生がダメな時は後から3年生が助けてくれるし、3年生がうまくいかない時は僕らが頑張る、助け合う形でプレーできました」と言い、チームキャプテンで3年生の佐藤獅恩選手も「15人全員で全勝優勝できたことがとてもうれしい」と満足気な表情を見せました。
渡部ヘッドコーチは今大会を以下のように総括します。「せっかくのリーグ戦ですので、2番手、3番手の選手たちの底上げをしたくて、プレータイムをシェアしながら戦いました。どの選手がどの場面でどういう力を発揮するのかを知る場であり、必ずしも勝利だけを求める大会とはとらえていませんが、それでも負け癖がつくのは嫌ですし、かといって慢心したくもありません。いろんな選手が出場して、失敗しても励まし合って『もう一回行くぞ』と前向きに戦える大会になったと思いますし、選手たちも『僕たちの力を出せればこれくらいのことができる』と自信がついた、とてもいい経験ができた大会になりました」
「U18日清食品 東北ブロックリーグ」は今年が初開催。その初代チャンピオンとして大きな経験と自信を備えた福島東稜は、これから一層手強い存在になることでしょう。
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